CES 2024から世界の最新スマホを一挙紹介。格安折り畳みや紙風ディスプレイ、配信特化端末に衛星通信対応タフ仕様など多数(山根康宏)

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山根康宏

山根康宏

香港在住携帯研究家

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スマホとSIMを求めて世界を取材中。メディアへ執筆多数。海外・中国通信関連の記事や講演承ります。noteや動画配信もやってます。

特集

2024年1月9日から12日までラスベガスで開催されたCES 2024は「右も左もAIばかり」と感じるほど、AIに関する展示にあふれていました。

しかし、モバイル関連製品を追いかけている筆者の目に飛び込んでくるのはスマートフォンばかり。ということでCES 2024で見かけたスマートフォンを紹介します。

ゲーミングフォンからハイエンドスマホへ転身を図るASUS「ROG Phone 8」

ASUSのゲーミングスマートフォン「ROG Phone」シリーズは毎年春先に発表されていましたが、2024年は時期が一気に早まり1月頭となりました。

一説には2023年モデルは2022年モデルのマイナーアップデートであり、2024年登場のROG Phone 8が次世代モデルとして完全なるフルモデルチェンジとなった、とも言われています。

チップセットはSnapdragon 8 Gen 3を搭載、ディスプレイは6.78インチでリフレッシュレートは最大165Hzに対応します。

ROG Phone 8

カメラはメインが5000万画素で、Zenfone 10搭載のジンバル機能を取り入れブレの無い撮影が可能。カメラ性能を大きく高め、普段使いのスマートフォンとしても活用できます。

モデルは背面仕上げの差(正確にはそれに加えてメモリ構成の差)により2種類あり、ROG Phone 8は背面の「ROGロゴ」がLEDライトで、通知やゲームプレイに応じて色の変わるシンプルなエフェクトを搭載。

一方ROG Phone 8 ProはミニLEDのドット表示になっており、ロゴや文字などをスクロールさせながら表示できる「AniMe Vision」を搭載しています。

ROG Phone 8(左)とROG Phone 8 Pro(右)

ゲームに特化した機能として、本体を横にして持つと左右のショルダー部分がタッチ式のゲームボタンになるAirTriggerを搭載。また外付けのゲームパッド「ROG Tessen Mobile Controller」や冷却ファン「AeroActive Cooler X」も発売されます。

AeroActive Cooler Xを取り付けた状態

目に優しい「紙風ディスプレイ」推進の「TCL 50 XL NXTPAPER 5G」

TVメーカーとしても大手のTCLは次世代ディスプレイの開発にも注力しています。モバイル端末向けには「NXTPAPER」と呼ばれる目にやさしいディスプレイを開発し、CES 2024では「TCL 50 XL NXTPAPER 5G」を発表しました。

NXTPAPERはディスプレイ表面に微細な加工を施して反射を低減し、またブルーライトを大幅にカット。電子ペーパーとは異なるアプローチで見やすさを実現しました。

TCL 50 XL NXTPAPER 5G

TCL 50 XL NXTPAPER 5Gは、2024年中に発売の予定ですが詳細はまだ未定。チップセットも不明ですがミドルハイレンジクラスになるだろうとのこと。

ディスプレイサイズは6.78型でリフレッシュレートは120Hzに対応、カメラは5000万画素を搭載します。背面デザインは最近流行りの円形カメラ台座を採用しています。

最近このカメラデザインのスマホが増えている

世界初のApostrophy OSを搭載した安全スマホPunkt.「MC02」

デザインに優れたIT製品を出しているPunkt.の最新スマートフォン「MC02」は、一見するとどこにでもありそうな製品です。

チップセットはメディアテックのDimensity 900、5Gのバンドはn1 / n2 / n3 / n5 / n7 / n8 / n12 / n20 / n25 / n28 / n41 / n48 / n66 / n71 / n77 / n78 / n79に対応します。ディスプレイは6.67インチ、カメラは6400万画素で800万画素の超広角と200万画素のマクロが加わります。フロントカメラは2400万画素と、意外にも高性能です。バッテリーは5500mAhとやや大型のものを搭載します。

Punkt.のMC02

Punkt.の製品はミニマリズムを追求したシンプルなデザインを採用しており、MC02も余計な装飾などの無いシンプルな外観です。価格は749ドル(約11万円)とスペックを考えるとやや高いものの、これには理由があります。

ミニマリズムなデザイン

MC02はOSに世界初のApostrophyを搭載します。ApostrophyはGrapheneOSを元に開発され、安全性を高めたOSです。

独自のメール、カレンダー、連絡先やストレージサービスを提供し、MC02には1年間のサブスクリプションが提供されます。ベースはAndroid 13ですがグーグルサービスは搭載せず、個人の情報が使用されることはありません。

VPNも標準搭載で常に安全な通信が可能です。シンプルなデザインかつ安全性にお金を投資したい人向けのスマートフォン、それがMC02というわけです。

スペック以外の部分に価値観を提供する

衛星通信対応と120W充電可能なタフネスモデル Ulefone「Armor 23 Ultra」

タフ仕様のスマートフォンメーカーとして知られているUlefoneは、スタイリッシュデザインのモデル「Armor 23 Ultra」を出展しました。

ヴィーガンレザー貼りのツートンカラー仕上げの背面には5000万画素の広角、超広角カメラに加え、3倍の望遠カメラ、さらに夜間でも撮影可能なナイトビジョンカメラも搭載。バッテリーは5280mAhで120W充電に対応します。

Armor 23 Ultra

チップセットはメディアテックDimensity 8020で衛星通信(NTN)に対応し、電波の無いところでも空が見渡せればテキストメッセージの送受信が可能です。

本体はMIL-STD-810H、IP68、IP69Kなどタフな仕様も充実しています。5G対応バンドはn1 / n2 / n3 / n5 / n7 / n8 / n20 / n25 / n28 / n38 / n40 / n41 / n66 / n71 / n77 / n78 / n79。価格は599ドル(約8万8000円)。

衛星通信を利用できる

2024年の流行色を纏ったモトローラ「razr 40 ultra Peach Fuzz」

CES 2024会場では折りたたみスマートフォンも注目を集めていました。モトローラの「razr 40 ultra Peach Fuzz」は、日本などでも販売中のモデルのカラーを変更した製品です。

Peach Fizzはカラーチャートでおなじみのパントーンが定めた2024年カラー。そのトレンドカラーを取り入れたスマートフォンです。

新色モデルとなるモトローラrazr 40 ultra Peach Fuzz

モトローラはすでに海外でパントーンカラーのマゼンタと提携したrazr 40 ultraを出しており、このモデルはコラボ2色めとなります。

ただの色違いではなく流行カラーを取り入れるあたりは、razr 40 ultraをファッション性のある製品として展開していこうという狙いがあるのでしょう。

2024年のトレンドカラーを纏っている

格安折りたたみスマホが登場、Backview「Hero10」

折りたたみスマートフォンは最新のディスプレイ技術を搭載することから価格が高めですが、Blackviewの「Hero 10」は4Gモデルとすることで低価格での登場が期待されています。

同社はUlefone同様タフ仕様スマートフォンに特化したメーカーですが、Hero 10はそれらとは一線を画したファッション端末です。

Hero10

チップセットはメディアテックのHelio G99、1億800万画素のカメラを搭載し、4Gスマートフォンとしては最上級の性能を誇ります。

発売時期や価格は未定ですが、Blackviewの他の製品も手ごろな価格のものが多く、ブース担当者は「思い切った価格を予定している」と話していました。Hero 10もフォルダブルとして格安で出てくることが期待されます。

回転カメラ搭載のスマホ風ライブ配信端末

中国のスマートフォンODMメーカー傘下のShixiが出展した「Seevi」はスマートフォンのように見えますが、Wi-Fiのみを搭載するライブ配信用カメラデバイスです。

OSはAndroidを搭載しており、ライブ配信アプリをインストールして利用可能。本体上部には手動で前後に回転させられるデュアルカメラを搭載しています。

ライブ配信用カメラデバイスSeevi
背面はシンプルな仕上げ。下部に三脚穴がある

カメラは広角と望遠で、2つのカメラを同時に1画面で配信可能。自分の顔と、商品などを望遠カメラで拡大して同時に配信するなど、ライブコマースに使うことができます。

ライブコマース市場が拡大している中国ならではの製品ですが、ブース担当者によるとグローバル展開も視野に入れているとのこと。

デュアルカメラで配信できる

◆韓国第三、第四のメーカー? ヒュンダイのスマホ

最後に紹介するのは新製品ではなく、メキシコなど中南米で販売されているヒュンダイのスマートフォンです。

Hundai MobileはHYLINEのブランド名で低価格なスマートフォンを展開中。「HYLINE PRO」はUNISOCのT606をチップセットに採用し、1300万画素カメラを搭載したエントリーモデル。価格は200ドル以下とのことです。

ヒュンダイブランドのスマホが販売されている

CESもスマートフォン披露の場になりつつある

CES 2024で展示されていたスマートフォンを見ると、大手メーカーの新製品はないものの、2番手以下のメーカーがこぞって新しいモデルを展示していました。

サムスンがCES翌週に新製品を発表するなど、非大手メーカーはそれらに先駆けることで製品アピールに結びつけようとしていると思われます。

折りたたみや衛星通信など最近のトレンドをこれらメーカーが採用したのも一つのトピックでした。派手な製品はないものの、今後もCESでスマートフォン新製品を発表するメーカーは増えていくでしょう。

《山根康宏》

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