楽天ペイメントが、楽天ペイのアプリに楽天ポイントや楽天Edyを統合していく方針を明かしました。
バラバラになっていたポイントや電子マネーを、コード決済の楽天ペイに寄せ、楽天グループが展開するフィンテックサービスの入口とする格好。合わせて、夏にはポイント還元率を変更し、楽天キャッシュへのチャージが重視されるようになります。
現状の楽天ペイアプリにも、楽天ポイントカードや、楽天Edyを設定、チャージする機能があり、すでに決済関連のサービスをまとめた存在になりつつあります。
一方で、これとは別に楽天ポイントや楽天Edy単体のアプリも存在します。楽天ポイントや楽天Edyの方が楽天ペイより先に登場していたためで、個別のアプリの方が機能も豊富です。
楽天ペイメントの執行役員 CMOを務める諸伏勇人氏によると、これらのアプリは順次廃止していき、ユーザーには「楽天ペイアプリに移行してもらう」とのこと。
「楽天ペイのアプリの利用頻度が圧倒的に高まってきた」のがその理由です。統合し、1つのアプリとして提供した方が「僕らにとっても効率がよく、ユーザーにも喜んでいただける」としています。
競合他社を見渡すと、コード決済サービスでトップシェアを誇るPayPayは、ポイントのみならず、PayPayポイントやPayPayカードなど、他のサービスへのアクセスが可能。d払いも、dポイントカードを表示できるほか、FeliCa決済サービスのd払いタッチを発行する機能があります。
楽天ペイメントではFeliCaを使った電子マネーの楽天Edyを擁している点が他社との違いと言えますが、利用頻度の高い「何とかペイ」アプリに金融・決済系サービスを集約させる動きは一般的。楽天ペイも、そのトレンドに乗った形と言えるでしょう。
楽天ペイメントでは、この決済系サービス統合を第1弾と位置づけており、今後は楽天証券や楽天カード、楽天銀行といった金融系サービスも楽天ペイとの連携を強化させていく方針です。
第2弾としては、楽天カードのアプリ内でできる主要な機能を楽天ペイアプリ内に搭載していく計画だと言います。分割払いや明細確認、キャンペーンの告知などが、楽天ペイアプリだけで完結するようになるというわけです。
楽天ペイは、オープン化戦略として他社クレジットカードを受け入れており、どちらかと言うとQRコードを通じたクレジットカード決済の側面が強いサービスでしたが、2024年に入り、残高をアプリ内に持たせる方向に舵を切っています。2月には、260以上の金融機関からのチャージに対応。4月には、セブン銀行に続き、ローソン銀行からのATMチャージも可能になりました。
銀行からのチャージや現金を広げることで、クレジットカードを持てないユーザーや、少額決済にクレジットカードを使いたくないユーザーにも間口を広げていると言えるでしょう。
こうした動きをさらに強化するため、ポイント還元の仕組みも見直します。現状では、楽天カードからのチャージに0.5%、そのチャージした楽天キャッシュでの支払いに1%のポイント還元を行っています。夏には、これを改め、楽天キャッシュでのチャージ払いをした際に1.5%を還元するようになります。
トータルでの還元率は変わりませんが、楽天カード限定だった0.5%がなくなり、どのような方法でチャージしても還元率は1.5%に上がります。これは、楽天カード優遇からチャージ払い優遇へと切り替えていくことを意味します。
1.5%という還元率は、何とかPayの中ではかなり高めの水準。PayPayは基本が0.5%で、1か月10万円かつ30回の「PayPayステップ」を達成したときのみ、1%還元になります。d払い、au PAYなどは、軒並み0.5%還元。一般的な水準の3倍ポイントが貯まりやすくなる大盤振る舞いぶり。下手なクレジットカードよりも高還元なため、新たに利用を検討する人も増えそうです。
この動きを加速させるキャンペーンも開始しており、4月18日からは楽天ペイ内の楽天ポイントカードでポイントを貯めると、初めての人は通常の10倍ポイントがつくようになりました。
上限200ポイントとやや渋めですが、2000円の買い物をするだけで200ポイント受け取れるのは魅力的です。また、今夏には初めてチャージ払いをした場合に最大20%のポイント還元が受けられるキャンペーンを開始します。
筆者が注目したのは、楽天モバイルとの連携。3つ目のキャンペーンとして、Rakuten最強プランを契約してコード決済をしたユーザーに対し、3か月間、3.5%のポイントが上乗せされます。楽天モバイルは、楽天市場のSPUでポイント還元率が4%アップする施策を実施していますが、それが楽天ペイとの連携でリアルな店舗にも広がる格好です。
スマホの料金プランとポイ活は相性がよく、各キャリアが導入しているだけに、このキャンペーンは楽天ペイの利用促進につながるだけでなく、楽天モバイルの契約獲得にもつながりそうです。
楽天モバイルと楽天ペイが連携したことで、「ポイ活オプション」のような道も拓けてきたような気がしています。
ARPU(1ユーザーあたりの平均収入)の底上げを行うことで黒字化を目指している楽天モバイルにとって、単価が高めなオプションの導入は必至。
仮に1000円で2000ポイント得られるようなオプションが登場すれば、多くのユーザーが契約し、ARPUが上がる可能性もあります(出費も増えますが……)。うまく連動できれば、楽天ペイの強化が楽天モバイルの魅力を高めることにつながるかもしれません。