日本時間5月15日午前2時より開催されたGoogle I/Oより。Googleは今回のイベントで、Gemini AIをさらに多様なプロダクトに組み込んでいることを大きくアピールしました。
なかでも印象的だった発表のひとつは、スマートフォンで視聴中の映像に向かって音声で質問するだけで、その回答を表示できるビデオ検索機能「Ask with Video」だったのではないでしょうか。
ただ、ビデオ検索のデモ動画を観た人の中には、AIが質問に対して返した答えのおかしさに気づいた人もいたようです。
問題の部分は、動画開始後1分を過ぎたあたり。レトロなフィルムカメラを手に持つ青年が、「なんでレバーが最後まで動かないの?」と質問したところ、GoogleのAIは即座にいくつかの回答を提示し、最後に最も最適と思われる答えを強調表示しました。
ところが、その強調された答えは「裏蓋を開けて、そっとフィルムを取り出す」というものでした。もし、フィルムカメラ世代の人々やカメラ好きな人々がこの答えを示されたなら、きっと慌てることでしょう。
(▲画像:「裏蓋を開けてそっとフィルムを取り出す」回答をハイライト。)
手巻き式のカメラでフィルム巻き上げレバーが途中で止まるようになったら、それはいま使っているフィルムカートリッジの撮影可能枚数が終了したことを意味します。
そうなった場合は、カメラ内にあるフィルムをカートリッジ内に完全に巻き戻してから取り出し、現像にまわすというのが正しい手順です。
ところがGoogleが提示した回答では、いきなり裏蓋を開けてフィルムを取り出すよう指示しています。もし本当にそれを実行してしまえば、完全な暗室でもないかぎりフィルムが露出、感光してせっかく撮影したものがダメになってしまうことでしょう。
カメラ側の問題や、フィルムが正しく装填されていなかったりした場合にも、巻き上げレバーが動かなくなることがあるかもしれませんが、そのような場合も途中まで撮影していた分を保全するため、まずはフィルムを完全にカートリッジ側に巻き取ることをおすすめします。
もし、フィルムを送ることも戻すこともできなくなってしまったとしても、蓋を開ける前に一度カメラ店に相談するのが良いでしょう。
参考:【初心者注意報 001】裏ぶたには気を付けろ【フィルムカメラ】
AIが返す回答は必ずしも正確というわけではありません。Googleといえば昨年2月、AI チャットボット「Bard」を発表した際にも質問に対するAIの回答のなかに誤りが含まれているのが指摘されていました。
今後もAIはさまざまな場面で人々の生活を便利にしていくと思われますが、それらを使う側としては、少なくとも現状では誤情報を最新の見せ方で堂々と提示してくる可能性もあることを、頭の隅っこで意識しておく必要がありそうです。