2024年ベストバイにスマホを選べなかった筆者が手にしたファイナルアンサーは?(石野純也)

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石野純也

石野純也

ケータイライター/ジャーナリスト

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慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行う。ケータイ業界が主な取材テーマ。

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年末だし、とりあえずベストバイで何か1本書いてくださいよ――そんな依頼を受けた筆者ですが、スマホだとなかなかチョイスに困ってしまいました。

「Galaxy Z Fold6」は買って満足度が高かったものの、「Galaxy Z Fold5」からの乗り換えだと正直新鮮味が薄い。かと言って、「iPhone 16 Pro」もApple Intelligenceの日本語対応がまだだしなぁ……といった具合で、スマホでこれと決めることができませんでした。

▲2024年もあれこれスマホは買ったものの、ベストバイかいうとちょっと違うような気もした

「Pixel 9」も毎年恒例ということで買ってみましたが、こちらも正直、「Pixel 8」と比べてそこまで進化したかというとそんなこともなく。リアルタイムで文字起こしが可能なレコーダーとしては日々重宝しているものの、じゃあ、Galaxy Z Fold6の代わりにメインで使いたいかというとなかなかそこまでの気分にはなりません。

ほかにも「11インチiPad Pro(M4)」を勢いで購入しましたが、キーボードにApple Pencil Proと三点セットをそろえたところ、気軽にリコメンドできそうな価格ではなくなってしまいました。

出張用兼自宅作業用のPCのディスプレイが開閉しただけでバリバリと音を立てて壊れてしまったので、急いで購入した「HP Pavilion Aero 13-be」はコストパフォーマンスがめちゃくちゃよくてお勧めしたかったのですが、こちらは入手時点ですでに型落ちに。現在は販売終了してしまっているので、ベストバイで挙げてもなぁ……といった次第で見送ることにしました。

▲コスパは抜群で満足度が高いPCだったが、今年のベストバイに2023年の製品を挙げるのもちょっと……ということで、これも見送りに

そんな感じで消去法のように残った1台が、「Apple Watch Series 10」でした。選び方は若干ネガティブですが、個人的な満足度も非常に高いモデルです。

今回のApple Watch、10周年ということもあって気合いが入っており、特に高級モデルの方は素材がステンレススチールからチタニウムになったり、それに伴って質量が大幅に軽くなったりと、ハードウェアとしての魅力が大きく増しています。

▲今年のベストバイとして選んだApple Watch Series 10。筆者は46mmのチタニウムケースを購入した

筆者が購入した大サイズの46mmモデルですら、重さはわずか41.7g。これって、Series 9までの小サイズより軽くなってるんですよね。筆者は、買い替え前のモデルが41mmケースのSeries 8だったので、46mmのSeries 10を着けていてもあまり軽くなったことは実感できませんが、逆にサイズがここまで大きくなって違いが分からないのがスゴイ。

大きな画面と、軽さを一気に手に入れたような感覚になるので、Series 9までのステンレススチールモデルが重いと感じていた人にこそお勧めできます。

▲Hermèsのバンドをつけてもこの軽さ。大きなサイズとは思えない

この軽量化に加え、薄型化されているのも着け心地がよくなった理由。毎日着けていますが、ストレスを感じにくくなりました。手首の周りがシュッとしたこともあってか、歩いていて壁などにゴツっとぶつけてしまう失敗も減った気がします。

薄くなったぶんでギリギリ衝突を回避できているのでしょうか。さすがにそれは気のせいでしょと言われれば、否定はできませんが……(笑)。

比較的長期間使ってきた分かりましたが、ステンレススチールだったSeries 9までより、小傷もつきづらくなっているような印象を受けました。ステンレススチールは、素材そのままで磨きをかけたことによる光沢感がありましたが、その製造方法だとどうしてもすり傷がつきやすくなります。

ステンレス磨きを使ってゴシゴシこすると全体的に薄っすらと削れて傷が消えるのはメリットですが、ちょいちょい磨くのが面倒だったのも事実。しかも大きな傷はなかなか消えません。

一方で、Series 10のチタニウムは、チタニウムの上に光沢感が出るようなPVDコーティングが施されています。Apple Watch Ultra/Ultra 2に使われているチタンと見え方が大きく違うのもそのため。あちらに“チタンっぽさ”を感じ取っていた人がSeries 10を見ると、あまりの違いにビックリするかもしれません。

ただ、そのコーティングが施されている結果なのか、約3カ月使ってもぱっと見で分かる小傷がついていません。ステンレススチールの時は、1カ月も経たないうちに傷がついてしまい、ガッカリしたことを思い出します(苦笑)。

▲本体が薄くなり、着け心地も上がった。3カ月使ったが、小傷がついていないのもいい

逆に、ステンレス磨きで簡単に傷を消せなくなってしまっている点には注意が必要。美しさをキープするためのメンテナンスにかかる時間はなくなりましたが、そのぶん、傷がついてしまわないよう、より丁寧に扱わなければならないと感じました。

このチタニウムケースのモデルは、すべてセルラー対応。アルミニウムケースと違い、セルラーなしの選択肢はありません。フラッとコンビニに出かけるときなどは、スマホなしで行き、Apple Watchだけで決済できるのが便利。

これだけなら通信なしでもできますが、行き帰りの間に通知もしっかり見ることができます。

また、セルラーモデルであれば、Apple Watch単体でPayPayやau PayのQRコード/バーコードを表示させることも可能。iDやSuicaだと自治体の還元を受けられないといったケースで、かつスマホが手元にない時に役立ちます。

スマホを置きっぱなしにしたまま電話に出られたりと、個人的にはセルラー版がお勧め。これこそ、Apple Watchのメリットだと感じています。

▲セルラーモデルなら、iPhoneがなくてもPayPayのバーコードを表示できてしまう

ただ、維持費がちょっと割高になっていたことは否めません。ナンバーシェアを使うため、iPhoneはpovo2.0でデータ通信しつつもau回線を残していたのですが、auはメインブランドだけに小容量プランが超割高。データ通信はほとんど使っていなかったのにも関わらず、月4000円近くかかっていました。これはさすがに無駄だなということで、auをUQ mobileにプラン変更。

ナンバーシェアが使えなくなってしまうため、別の端末に入れていた楽天モバイルをiPhoneに移し、新たに「電話番号シェアサービス」を契約することにしました。

楽天モバイルの電話番号シェアサービスは、月額550円と4キャリアの中ではもっとも高いものの、Rakuten最強プランの3GB以下と組み合わせれば、1628円で維持することが可能。

サブブランドやオンライン専用ブランドでApple Watch用のサービスを提供しているキャリアが少ないこともあり(ahamoを除く)、最安維持ができるのは楽天モバイルということになります。使うといっても、そこまでヘビーユースするわけではないため、エリアも今のところ気になっていません。

▲回線は楽天モバイルに変更。特に不便なく使えている

そんなこんなでApple Watch購入以来、初めてセルラーの回線も変更することになりました。サイズ変更に伴ったバンドをあれこれ買い直して付け替えてみたり、アクセサリー感覚でカスタマイズも楽しんでいます。

今年入手した製品の中に、買ってから、ここまで試行錯誤しながら自分にフィットさせていった製品はほかにありません。購入後3カ月経った今でも十分遊べているという意味で、今年のベストバイとして挙げるのにふさわしい製品だと感じています。


《石野純也》

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慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行う。ケータイ業界が主な取材テーマ。

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