各種ゲーミングデバイスで知られるRazer(レイザー)が、初となる独自設計のロープロファイル光学キースイッチを搭載したキーボード、Razer DeathStalker V2シリーズを発売しました。
製品構成は3グレード、そのうち2グレードはキースイッチ2種で、合計5モデル(詳細は後述)。日本ではそれぞれにJPとUS配列が選べます(これも加えると10モデル展開)。
価格は2万3880円(税込)から3万880円(同)と、同社製キーボードの中でもかなり高級機として位置づけられます。
なお注目したいのが、内外価格差。米国価格は199.99ドルから249.99ドルと、なんと昨今としては非常に珍しい、ドル円レートより安価な設定となっています。
特徴は、上述した新型スイッチ、ひいては同社初のロープロファイル(低背/薄型)のメカニカルキー採用という点に加えて、ワイヤレス兼用モデルでは3台までのBluetoothマルチペアリングに対応し(ゲーミングモデルではほとんどありません)、加えて独自無線、USBも使えるなど、現時点での“全部入り”仕様となっている点。
ゲーミングキーボードに詳しい読者にとっては「ロープロメカキーで大人気となったロジクール『G913』(海外ではLogitech G915)を徹底的に研究し、これを超える仕様を盛り込んだモデル」と紹介すると、通りが良さそうな製品です。
DeathStalker(デスストーカー) V2で技術的な焦点となる新型キースイッチは、赤外線によってキーの押下を検出する光学式。物理的なスイッチの宿命とも呼べる、繰り返し入力時の(物理的なスイッチの戻りなどに起因する)遅延が発生しない点や、キーストローク寿命が7000万回と長い点をアピールします。
キーストローク(総移動量)2.8mm、入力が検知される「アクチュエーションポイント」は1.2~1.5mmと、ロープロタイプならではの短いストロークが特徴。ゲームプレイで重要な高速入力という面でも優位を謳います。
さらにキーボード本体も薄く設計できるため、机との段差も一般的な製品に比べて少なくなり、人間工学的にも有利とアピールします(これはもちろん、本機以外のロープロタイプにも共通の特徴ですが)。
キースイッチは2種類。リニアタイプ(赤色)バージョンは、比較的軽めに入力が可能な仕様。
押下圧45g、アクチュエーションポイントは1.2mm。リニアタイプは昨今のスタンダード的なポジションですが、本機でもそうした扱いとなる模様です。
もう1種は紫色のクリッキータイプ。こちらはアクチュエーションポイントでクリック音が鳴り、指への感触も合わさって入力がわかりやすいタイプです。
ただし、押下圧は50gと若干重め。アクチュエーションポイントもリニアより少し深く、1.5mmとなっています。
テンキー付きワイヤレス、DeathStalker V2 Pro
3モデルのうち最上位となるのが、無線・有線兼用で、テンキー付きの『DeathStalker V2 Pro』です。
価格は3万880円(税込)で、JP配列とUS配列ともに同価格。リニアスイッチ版は発売中。クリッキースイッチは第4四半期に追加予定です。
無線接続の方式は、Razer独自の2.4 GHz低遅延無線『HyperSpeed Wireless』と、Bluetooth 5.0。有線接続でも使用でき、本体側のUSB端子はType-C仕様です。
また、実際の使い勝手にも配慮されており、HyperSpeed WirelessのUSBアダプタはキーボード底面の専用ポケットに収納できます。また、Bluetoothは3台へのマルチペアリングが可能ですが、この切り替えは専用ボタンを奥側に用意。しかも3台にそれぞれ独立ボタンが用意されているため、着実な切り替えができます。
右上部には動画や音楽の制御が可能なメディアボタンと、音量制御用のメディアローラーを搭載。キーカスタマイズには同社のユーティリティ『Razer Synapse』 が使えます。もちろん、キーの機能割り当てやオンボード(キーボード側に記録する)マクロなども対応。オンザフライ(キーボード側のみで記録する)マクロも設定可能です。
加えてマクロやキー割り当ては、Synapseの特徴である内蔵メモリとクラウドの『ハイブリッドストレージ』記録に対応。最大5種のプロファイルに対応します。もちろん、バックライトは『Razer Chroma』仕様のRGBフルカラー。いわゆる“ゲーミング発光”を定着させた立て役者のRazerだけあり、このあたりには抜かりはありません。
バッテリー駆動時間は公称で40時間(バックライト65%、独自無線接続時)。最高輝度でも26.1時間の駆動が可能です。
テンキーレス版はリニアスイッチのみを用意
最も人気が出そうなのが、無線・有線兼用のテンキーなしタイプ『DeathStalker V2 Pro Tenkeyless』。ただしこのモデルのみ、キースイッチはリニアタイプに限定されています。
価格は2万9880円(税込)で、やはりJP配列とUS配列ともに同価格。発売は少し先で、8月予定です。
テンキーレスタイプ、かつナローベゼル設計ながら、メディアボタンとメディアローラーはしっかりと継承されており、F12キーの右側に配置。その代わり、Print Screenキーなどは一段下のキーとFnキーの同時押しとなっています。
なお、ライバルとなるロジクール『G913 TKL』が“ローラーのために奥行きを増した”設計となっているのですが、このあたりの比較はちょっと面白いところです。
またテンキーあり版との差が大きな点は、ライティングLEDの少なさに起因するバッテリー駆動時間の長さ。公称で50時間と、テンキーありに比べて+10時間伸びています。
7000円安でお買い得な有線専用モデルも
そしてベーシックな有線専用のテンキー付きモデルとなるのが、『DeathStalker V2』。価格は2万3880円(税込)で、JP配列とUS配列ともに同価格。リニアスイッチ版は発売中で、クリッキースイッチは第四四半期に追加予定です。
有線専用モデルですが、USBケーブルは脱着可能な構造。本体側の端子もしっかりType-Cのため、使い勝手に優れた設計です。
その他の仕様はProと共通。有線のみでOKというユーザーには、そこだけで7000円の安価となる点は見逃せないポイントでしょう。
なお、モデル名に『V2』とありますが、これはVer.2の意。つまり初代がありました。この初代は2012年発表のモデルで、メカニカルではないものの、ノートPC的なロープロタイプでした。また、小型のタッチパネル液晶を搭載した『DeathStalker Ultimate』という、ユニークなモデルも販売されています。
言い換えれば、今回のV2は、「10年振りのシリーズ復活」ともなるモデル。さらにキースイッチの時点から新開発という点などを考えても、Razer側としても並々ならぬ気概を込めた製品と呼べそうです。
この2年ほどのゲーミングキーボードでは、入力速度の優位性やノートPCなどと合わせて使った際の違和感の少なさなどから、ロープロタイプの人気が増していますが、本機は最大手であるRazerがついに参入したことで、話題となると同時にロープロタイプの普及を推し進めそうなモデル。
そうした点から「PCゲーマーやキーボード好きには、購入するか否かを抜きにしても見逃せない」存在となることには間違いありません。
●Source:DeathStalker V2特集ページ(日本語)