PlayStation 5専用VRヘッドセット「PlayStation VR2」の発売が、いよいよ約3週間後の2月22日に迫ってきました。しかし米BloombergはPS VR2の先行予約が予想ほど伸びていないため、ソニーは当初予定していた生産計画を見直し台数を減らす見込みと報じています。
一方ソニーは、この報道を受けて直ちに「PS VR2の生産台数は減らしていない」との声明を発表。「グランツーリスモ7」や「バイオハザード ヴィレッジ」など30タイトル以上の発売を控え、PlayStationファンから熱狂的な支持を受けていると述べています。(GT7やバイオ村は発売済みタイトルが無償アップグレードによりPS VR2対応予定)。
BloombergはPS VR2の先行予約は昨年11月に始まったものの、現在はどこの販売店でもキャンセル待ちなしで予約できると指摘。ここまでは客観的に観測できる事実ですが(ビックカメラなど大手家電量販店の通販サイトで、2月1日現在も予約可能)、同紙は「人気商品であれば、発売から1か月を切った時点でこういう状況には通常ならない」と主張しています。
匿名のソニー関係者らによると、同社は部品サプライヤーに対してPS VR2で使うディスプレイパネルの注文数量が予想よりも少なくなりそうだと伝えたとのこと。VR事業戦略に大きな変更はないものの、初期のローンチは思惑通りには進んでいないと語られています。
今回の報道では、PS VR2の7万4980円(税込)という価格は通常版PS5の6万478円より高く、しかもPS5本体がなければ動かないことが売上のネックだと述べられています。
もっともVRヘッドセット業界を見渡せば、北米で549ドルという価格は、Valve Indexや HTC Vive Pro 2、Meta Quest Proといった他社のハイエンド製品ほど高いわけではありません。
一方で、PS VR2はPS5用アクセサリであるのに対して、競合ヘッドセットの多くはWindows PCなど様々なデバイスやシステムで使い回しが効き、利用法もソフトも豊富という点は違いです。
ソニーが自らPS VR2をPC対応とすることも不可能ではありませんが、様々なデータをUSB-Cケーブル1本でやり取りすることや、特定ハードウェアプラットフォーム専用機器としてデータが暗号化されている可能性、目線など独自トラッキングシステムの移植等を考慮すれば、実現したとしてもかなり先になるのではないかとの分析もあります。
初代PS VRはサードパーティ製ツール経由でSteamVRに対応していますが、その1つであるiVRyの開発元Mediator Softwareは、PS VR2のアーキテクチャは大きく異なり、5年以内に移植できる可能性は非常に低いと説明していました。
PCで使える可能性がゼロではないとして、ビジネス的な観点ではSteamVRに対応させてもソニーにはハードウェア以上の売り上げはなく、ゲームの売り上げやサブスクリプションから収益を得られるPS5と接続して使われるよりも損にしかなりません。
ソニーは先月末、PS5本体の品不足がついに解消し、世界中の取扱店でより簡単にお求め頂けるようになったと公式声明を出しています。すでに全世界累計販売台数が3000万台を突破していることもあり、今後さらにPS5が順調に普及していけば、そのポテンシャルをさらに引き出すPS VR2も右肩上がりで売上を伸ばしてゆく可能性はあります。