GoogleでAR/XRデバイス向けのOSおよびソフトウェアプラットフォームを担当していたシニアディレクターのマーク・ルコフスキー氏が、職を離れることをTwitterで明らかにしました。プロフィールは「Ex-Google」となっており、すでに退社したようです。
ルコスフキー氏はツイートで「ARのリーダーシップが最近変わったことや、Googleのコミットメントとビジョンが不安定なことが、私の決断に大きな影響を与えた」と述べています。
リーダーシップの変化といえば、GoogleでARやVR事業を主導したクレイ・ベイバー氏は2月に退社しており、ARヘッドセット「Project Iris」の開発が中止されたとの報道もありました。
米Business Insiderによると、Googleは今年初めにIris開発をキャンセルしたとのこと。Googleは2020年にメガネ型デバイス「Focals」の開発元Northを買収しており、2022年のGoogle I/Oイベントでは「自動翻訳を字幕表示するスマートグラス」を紹介していました。
またGoogleの首脳陣はIris開発中に戦略を変更し続けたため、開発チームは絶えず方向転換を強いられ、多くのスタッフが苛立っていたとも伝えられています。そうした迷走を、ルコフスキー氏は「Googleのコミットメントとビジョンが不安定」と表現したようです。
ルコフスキー氏は、かつてWindows NTを開発した主要スタッフの一人です。近年ではFacebook(当時)に4年間在籍してOculus VRのゼネラルマネージャーを務めた後、2021年にGoogleに入社。同社のAR/XRに関わったのは、わずかな期間となりました。
ルコフスキー氏は今後の身の振り方について「AR技術そのものや、生成系AIとの接点を進化させる機会をさらに探っていきたいと考えています。この先に待っているエキサイティングな可能性への熱意と期待を持って、次の章に臨みたい」と述べています。同氏の職歴を振り返れば、他の企業でも引く手は数多のはずです。
GoogleはクラウドゲーミングプラットフォームStadiaも数年で撤退していました。方針転換の早さは「いつものこと」ではありますが、開発・販売を中止したサービスやハードウェア製品をまとめたウェブサイト「Killed by Google」まで作られています。