Apple iPhone の 2023年モデル「iPhone 15」シリーズ(仮)は、例年どおりであれば9月に、遅くとも10月には発表・発売される見込みです。
すでに8月に入り、次の iPhoneまで残り1~2か月となりましたが、それだけに複数の情報源からの噂話やスペック予想もほぼ一致するようになり、いよいよ製品像が固まってきた感があります。
では、iPhone 15 (仮)シリーズはどうなるのか、機種構成やハードウェア仕様、端子やディスプレイ、カメラなどの項目ごとにこれまでの事前情報をおさらいしていきましょう。
例年、この時期に大方の予測が一致している項目についてはかなり的中率が高いものの、あくまで未確認の事前情報であり、Appleの正式発表ではないことに留意してください。
iPhone 15 (仮) の機種構成・今年も全4モデル
今年も昨年と同じ4機種構成になる見込み。
画面サイズ6.1インチの標準モデル「iPhone 15」および6.7インチの「iPhone 15 Plus」、高価で高機能な上位モデルで画面サイズ6.1インチの「iPhone 15 Pro」、6.7インチの「iPhone 15 Pro Max」。この予想には異論を見たことがなく、ほぼ間違いないでしょう。
全4機種ともUSB-C端子を初採用
一時はProモデルのみとの噂もありましたが、今では「4機種とも」と合致するリーカー情報や、流出したモックアップと称する画像が相次いでいます。
そもそも「EUが2024年秋までに、域内で販売されるスマホ等に有線充電端子としてUSB-C採用を義務づけ」を先取りする動きとみられており、現地法は遵守して摩擦を避けるアップルの前例的にも理にかなっています。
iPhoneのためにLightning、iPadやMacなど他の機器のためにUSB-Cと使い分ける必要がなく、割高な MFi (Made for iPhone) 認証ケーブルでなくても使えるなどシンプルになるのはありがたい話ですが、しかしアップルがMFi認証の有無で何らかの差を付けるのではないかとのうわさ話もありました。
また著名アナリストMing-Chi Kuo氏は、標準モデルではUSB-Cを採用しつつ転送速度はUSB 2.0相当(Lightningと同じ)に据え置く一方、高価なProモデルではUSB 3.2またはThunderbolt 3に対応し、高速データ転送や4Kディスプレイ出力が可能になると予測していました。
全モデルがダイナミックアイランド搭載、Proは極薄ベゼル
まずProではない標準モデルに関しては、iPhone 14世代ではPro限定だったダイナミックアイランド(画面上部の楕円状スペース)を採用し、ノッチ(画面上部の切り欠き)を廃止する見込み。
それを補強する予想レンダリング画像が出てきており、信頼性の高いディスプレイ専門アナリストRoss Young氏も肯定する発言をしています。
(ただ一般論として、うわさが流れたあとにその元となった図面が流出して裏付けとなる場合もあれば、うわさだけを根拠に作られた再現画像がリークと称して出回り「うわさが確かめられた」と勘違いして広められる場合もあります。CG画像や図面が出たからといって確度が高まるわけではないことに注意が必要です)
ただし120Hz表示や低消費電力ディスプレイ、つまり常時表示は iPhone 15世代でもPro限定のようです。
次にProモデルのディスプレイは、ベゼル(画面外の額縁部分)が細くなるとの予想がありました。様々な方面から噂が届いた後に、アップルの社内情報に詳しいMark Gurman記者がより具体的な情報を述べつつ肯定しています。
具体的には、Proモデルはともに前モデルの2.2mmから1.5mmに縮小。この極薄ベゼル対応ディスプレイには低圧射出オーバーモールディング(LIPO)という技術が使われ、将来的にはiPadにも投入されるとGurman氏は述べていました。
標準モデルのカメラも48MP、Pro Max限定でペリスコープ望遠レンズ
まずメインカメラについては、iPhone 15 Proは48MPを維持する一方、標準モデルのiPhone 15とiPhone 15 Plusが12MPから48MPに格上げされると著名アナリストMing-Chi Kuo氏が予想しています。中国メディアITHomeも「ソニー製イメージセンサーを使う」と具体的に報じていました。
ただし、標準モデルのセンサーサイズはProモデルより小さいと主張するリーカーもいます。つまり取り込める光の量が少なく、同じ画素数でも低照度での撮影や背景ぼかしには差が付く可能性があります。
次に、最上位で最大サイズのPro Maxのみがペリスコープ望遠レンズを採用も疑う余地が少なくなってきました。
一時は小さなProモデルにも採用の可能性を主張する情報もありましたが、やはりKuo氏が「iPhone 15 Pro Maxにペリスコープ採用」とわざわざ限定しています。
ペリスコープ方式とは、レンズやミラーで光の向きを90度変え、本体に対して横方向にレンズを複数置くことで、従来のタテ重ね方式よりも本体の厚みやレンズの出っ張りが増すのを避けられる技術です。それでも本体内にスペースが必要には違いないため、大きなPro Max限定となるようです。
しかし、Kuo氏によればiPhone 16世代ではPro/Pro Maxともにペリスコープ望遠レンズが搭載されるとのこと。少し画面サイズが大きくなるため「より大きな内部スペース」が確保できるからと主張しています。
積層型バッテリー技術により充電速度アップ
1年以上前からサムスンがEV用の技術を使った「積層型バッテリー」をスマホ向けに開発しており、iPhoneに提供する可能性があると、韓国メディアThe Elecは示唆していました。それがいよいよ、iPhone 15にやって来る可能性があると、有名リーカーRGclouds氏が主張しています。
フォロワーへの返答では「有線では40W、MagSafeワイヤレス充電では20W」を確認できたと主張しています。これらは、いずれもiPhone 14シリーズを上回るものです。
もっともRGclouds氏はAndroid未発表製品には詳しいものの、アップル製品に関しては未知数のため、信ぴょう性については未知数です。
Proモデル限定のアクションボタン
iPhone 15 Pro両モデルの音量ボタンやサイレントスイッチはソリッドステート式、つまり物理的に動く部分がない感圧センサー式になると予想された時期がありました。
が、それは製造の難しさやコスト高から見送られるとの予想が有力となっており、8月初め現在では
「サイレントスイッチは多機能なアクションボタンに置き換え(ただし物理ボタン)」との見通しに落ち着いています。
この「アクションボタン」は、あくまで仮称。Apple Watch Ultraのアクションボタンのように「押し込む」形となり、同じように設定アプリで様々な機能を割り付けられるとの予想からそう呼ばれていました。
実際、MacRumorsは開発者向けiOS 17ベータ4から手がかりを発見。「アクセシビリティ」「ショートカット」「サイレントモード」「カメラ」「フラッシュライト」「フォーカス」「拡大鏡」「翻訳」「ボイスメモ」(以上、すべて仮訳)といった機能名があったと報告しています。
Proモデルのボディはチタン製
iPhone 15 Pro / Pro Maxの両モデルに、強く軽く耐蝕性もあるチタンが使われるとの予想は、著名アナリストMing-Chi Kuo氏が早くから主張してきたことです。
また上記のGurman氏も「最近の腕時計」にチタンを使ったのは、「最も生産量の多いデバイス(iPhone)」にチタンを採用するためのテストだったと述べていました。Apple WatchではSeries 5からチタンケース(ボディ)のモデルを販売しています。
Proのみ3nmチップ「A17 Bionic」搭載
iPhone 14 ProモデルのA16 Bionicは4nmプロセス製造ですが、iPhone 15 Pro用の「A17 Bionic」チップは3nm製造となることは確実視されています。
そのためにアップルが、製造を一手に引き受ける台湾TSMCの初期3nm製造ラインについて、2023年内は90%を独占したというサプライチェーン情報もありました。
しかし、さしものTSMCも最先端の3nm製造には苦戦しており、7月時点では歩留率が55%に留まるとの報道も届いています。
もっとも、今後は歩留りが上がっていくとみられており、iPhone 15 Proモデルの品不足に繋がるとは限りません。現行の4nmから3nmチップに移行することで、消費電力も下がると期待したいところです。
全モデルとも世界的に値上げ?
これだけ新機能の追加や既存の強化が盛りだくさんだけに、長らくフラッグシップiPhoneの価格を据え置きしてきた米国でも値上げになるとの見方が優勢となっています。
そして4機種すべてが値上げになると予想する識者は、投資会社Wedbush SecuritiesアナリストDan Ives氏やGurman氏など複数います。
せめてiPhone 15発売までに、円安が収まるかこれ以上進まないよう祈りたいところです。