ティファールのハイテク調理家電「クックフォーミー」シリーズ新モデル「クックフォーミー タッチ 3L」について、家電スペシャリスト安蔵靖志氏による体験リポートをお送りします(編集部)
ティファールというと「取っ手の取れる」鍋・フライパンと、「あっという間にすぐに沸く」電気ケトルが有名ですが、電気圧力鍋にも力を入れているのをご存じでしょうか。
実は2015年から「クックフォーミー」シリーズ、2020年からは「ラクラ・クッカー」シリーズを加えて2シリーズ展開しています。
クックフォーミーは液晶ディスプレイに食材や調理手順が表示される初心者向けのシリーズ、ラクラ・クッカーはマニュアル調理がしやすくて低温調理にも対応するのが大きな違いです。
料理を覚えるまではクックフォーミーシリーズが便利なのですが、調理道具のように使うならラクラ・クッカーシリーズ……というのが筆者の認識だったのですが、それを覆しそうな製品が登場しました。
同社が2023年9月1日に発売する、タッチ液晶搭載&スマホアプリ連携が可能な「クックフォーミー タッチ 3L」(実勢価格8万4300円)です。
タッチパネルやスマホアプリでレシピの詳細な検索が可能
クックフォーミー タッチは和・洋・中・エスニックまで270種類のレシピを内蔵しており、4.3インチのカラータッチパネル液晶からレシピを選んで調理を進めることができます。
料理を選択して人数(2人・4人)を選ぶと、必要な食材と分量、調理手順が表示され、指示に従えば調理ができる仕組みです。
新製品のクックフォーミー タッチはシリーズとして初めてWi-Fiに対応し、Webサイトに掲載される最新のレシピも検索できるようになりました。
また、従来から提供している無料の「ティファール」アプリ(Android / iOS対応)との連携機能もシリーズ初搭載。アプリを利用すれば、スマホでレシピを検索してクックフォーミー タッチに送信するといった使い方も可能です。
今回はデモとして「鶏手羽元の油淋鶏風煮込み」を体験しました。本体のホームメニュー左下にある虫めがねマークの検索ボタンを押すと検索画面が表示され、レシピの種類や調理時間などで絞り込んで検索できます。
最新スマホに比べるとちょっと動作がもっさりしているため、操作は若干ゆっくりめに行う必要があるものの、文字入力による検索も可能です。
検索結果からレシピを選ぶと、調理できる皿数(2人・4人)と準備に必要な時間、調理時間が表示されます。調理時間は圧力調理の場合、規定の圧力に達してからの時間のため、実際にはそれよりもっとかかります。このあたりは注意が必要です。
4人分を選ぶと鶏手羽元12本、長ねぎ(みじんぎり)1本といった食材の一覧が表示され、「1/4 材料を準備する」、「2/4 仕上げ用以外の材料を入れ混ぜる」、「3/4 圧力調理:5分」、「4/4 仕上げ」といった具合に手順が表示されます。
3/4の工程では、好みに合わせて調理時間を延ばすこともでき、「スタート」ボタンを押せる工程(今回は3/4の圧力調理工程)でボタンを押すとクックフォーミーによる調理が始まる流れです。
ここでとてもユニークだと感じたのが、スマホアプリとのリアルタイム連携です。シャープの「ヘルシオ ホットクック」やパナソニックの「オートクッカー ビストロ」など、最近ではスマホアプリと連携できる電気調理鍋も珍しくありません。
そんな中で後発のクックフォーミー タッチの強みになるのは、「調理工程をすべて可視化してくれる」ことだと感じます。
アプリでレシピを検索して転送すると、本体が準備段階なのか、調理段階なのか、調理時間はあとどのくらいなのかをリアルタイムで確認できます。アプリを使わずに本体でレシピを検索して調理を開始した場合でも、アプリのホーム画面下部にある「T」マークを押すと本体と連携し、同様に確認できます。
この機能を利用すれば「今日は『揚げないヤンニョムチキン』か」などと、離れた場所から家族が調理している状況を確認するといった使い方もできそうです。
今回の料理は圧力調理がたった5分で終了するのですが、もっとホロホロに煮込んだ方が個人的には好みでした。電気圧力鍋のレシピは「時短」を売りにするため、煮込み時間を若干短めに設定する傾向があると筆者は感じています。しっかり煮込んで柔らかい方が好みの場合は、スタート前に調理時間を調整できるので活用するといいでしょう。
マニュアル調理機能も充実し、料理道具としてもより使いやすく進化
マニュアル調理機能としては「圧力調理」、「炒め調理」、「煮込み調理」、「蒸し調理」に加え、新たに「スロークッキング」が加わりました。
また、従来モデルの圧力調理は70kPa(約1.69気圧)固定だったのですが、今回のモデルでは低圧(40kPa=約1.39気圧)、高圧(100kPa=約2気圧)も選べるようになりました。
「炒め調理」は「弱火(110℃)」「中火(135℃)」「強火(160℃)」、「煮込み調理」は「弱火(75℃)」「中火(90℃)」「強火(110℃)」、「蒸し調理」は「弱火(40kPa)」「強火(100kPa)」、「スロークッキング」は「弱火(75℃)」「中火(85℃)」の設定が可能です。
これまでティファールの電気圧力鍋に関しては、マニュアル調理が得意なのがラクラ・クッカーシリーズで、クックフォーミーシリーズはちょっと面倒という印象がありました。
メニューから好みの調理モードを選ぶ操作のしやすさはラクラ・クッカーシリーズが上ではあるものの、カスタマイズ性については新製品のクックフォーミー タッチが追い越した感もあります。
ただし依然として低温調理モードは搭載していない(ラクラ・クッカーシリーズは60℃~90℃まで1℃単位、最大22時間までの低温調理が可能)ので、その点はラクラ・クッカーシリーズの方に軍配が上がります。
気になるのは価格ですね。発売当初の実勢価格は8万4300円と、パナソニックが2023年2月に発売した「オートクッカービストロ NF-AC1000」(同7万9200円)や、シャープが2021年9月に発売した「ヘルシオ ホットクック KN-HW24G」(同5万2850円)などの、同じくスマホ連携対応の電気調理鍋を上回っています。
特に比較対象として注目すべきは、非圧力タイプであるシャープのヘルシオ ホットクックより、パナソニックのオートクッカービストロでしょうか。オートクッカービストロは約2気圧の高圧調理に加えて、独自の回転ユニットによる「鍋底かきまぜ」機能が特徴となっています。スマホアプリと連携することで、レシピを検索して転送し、調理の残り時間をアプリで確認するといったことも可能です。
一方、クックフォーミー タッチの魅力は、本体だけでスマートにレシピ検索ができ、食材から調理の仕方まですべて指示してくれる点にあります。今日は何を作ろうかと思案する場合はスマホアプリからアプローチすることが多いとは思いますが、キッチンにいるならクックフォーミー タッチで操作する方が圧倒的に楽という場合もあります。今何が行われているのか、次に何をすべきかがわかりやすいため、料理初心者には使いやすいように思います。
元々初心者向けに作られたクックフォーミーシリーズですが、次の工程に移るために調理を中断するレシピも多くあります。従来モデルではそれをビープ音でお知らせしていたのですが、筆者はその音に気付けずに作業が長い間中断してしまう場合がありました。初心者に親切な半面、そこに不満点があったのです。
今回のモデルでスマホアプリと連携できるようになったことで、「次の工程に移ります」というお知らせがアプリの通知でわかるようになりました。これによって、いよいよ「初心者に優しい電気調理鍋」がひとまず完成したような気がします。
クックフォーミーシリーズは3Lと6Lのモデルをラインアップしていますが、今回のモデルは容量3Lのコンパクトモデルです。今後大容量タイプの6Lモデルが発売される可能性もありますので、4人以上の家族の場合は6Lモデルが出るのを待つのもいいかもしれません。
¥25,400
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