新型 iPad Pro一式27万円かAirか。悩んで実機を見て選んだ決め手 (石野純也)

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石野純也

石野純也

ケータイライター/ジャーナリスト

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慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行う。ケータイ業界が主な取材テーマ。

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 アップルは7日、iPad AirとiPad Proの2機種、計4モデルを発表しました。

iPad Airに画面の大きな13インチ版が加わったことで、どちらもモデルも好みのサイズを選択できるようになりました。

iPad Proはフルモデルチェンジと呼べる刷新ぶりで、ディスプレイに有機ELを2枚重ねしたタンデムOLEDを採用。薄型化、軽量化も果たしています。


写真:iPad Airにも、13インチ版が登場した

 一方で、機能を盛りに盛ったこともあり、iPad Proは11インチの最小構成である256GB版でも999ドルから。

前世代の11インチ版iPad Proには128GB版があり、799ドルスタートだったため、この時点ですでに200ドル差がついてしまいました。

256GB版どうしの比較でも、100ドルほど価格が上がっています。

さらに日本の特殊事情として、昨今の急激な円安ドル高が反映され、最小構成でも16万8800円からと、かなりのお値段になってしまった感があります。

写真:ドル建でも、しれっと最小構成が200ドル上がっている。日本では、ここに円安パンチが加わり、16万8800円からに……。

 実は筆者もイベントを取材したあと、すき間時間を使って自分用のiPad Proを購入しようと画策していましたが、5G対応のセルラー版を選択した時点で価格が20万円を超え、ポチるのを躊躇してしまいました。

さらに、M4搭載のiPad Proでは従来の第2世代Apple Pencilが使えず、これも買い替えに。

Magic Keyboardも既存のものは非対応になるため、フルセットで買い替えると約27万円の買い物になってしまいます。

写真:iPad Proの場合、フルセットでの買い替えが必要になり、日本円での価格は27万円を上回ってしまった(セルラー版の場合)

 筆者は以前から、M1搭載のiPad Proを日々の取材なり、ビデオ会議なりに使用しています。

ガチャッと簡単にキーボードを取り外せて取り回しがよく、Apple Pencilでの校正もスムーズ。ただ、この用途に27万円を即決で出せるかというと、答えはノー。原稿料が今の3倍か4倍ぐらいになれば気軽に買えるのですが……。

処理能力についてはM1のiPad Proでも事足りていたため、それならばM2搭載のiPad Airに行くべきかと悩むことになりました。

写真:iPad AirもチップセットはM2。部分的なスペックは第3世代の11インチiPad Proよりも上がり、買い替えの効果は出る


 第3世代の11インチiPad Proからであれば、iPad AirでもチップセットがM2になり、処理能力が向上します。

Magic Keyboardが使い回せるのも利点で、このぶんでコストを大幅に抑えられるのも魅力。

残念ながらApple Pencilは買い替えになってしまうものの、スクイーズなどの操作ができるようになり、「探す」アプリにも対応していることから、その価値はあると言えそうです。

写真:ギュッと握ってツールを出せるスクイーズ。写真はGoodNotesだが、同アプリを活用している筆者には魅力的だった

 ただ、実機を見たあと、実際に筆者がポチッとしたのは11インチのiPad Proでした。

まずディスプレイが大きく違い、これは使ってみたいと思ったのが理由の1つ。コントラスト比がぱきっと高くなり、映像がとにかく鮮明になるため、“機種変した感”を味わえます。

これがiPad Airだとディスプレイに大きな変更がないどころか、最大120Hz駆動のProMotionも非対応に。それならば、iPad Proを使い続けた方がいいような気になってきました。

写真:目を奪われるようなディスプレイのキレイさは、実際に手にとって確認する価値あり。iPad Proにしたいと思った理由の1つだ

 キーボードの使い回しも、コスト的にはメリットな一方で、これまで使ってきたものなのでボロボロの状態のままになってしまうデメリットがあります。本体だけピカピカになってもなぁ……と思ってしまいました。

M4搭載iPad Pro用の新Magic keyboardはキーボード側がアルミになり、高級感が増したうえに耐久性も高くなっていそうなのが魅力的。

重量は非公開ですが、本体とのセットでも軽くなっているように感じました。

写真:キーボードの高級感が増している。これを使えるのも、M4搭載iPad Proの魅力と言える

 第3世代のiPad Proは、本体側がキーボードよりも重くなってしまう関係上、文字通りのラップトップとしてひざの上に乗せて使う際に安定感がイマイチという課題もありました。

筆者も何度か、そのせいで本体を落下させています。実際に試せたわけではないので何とも言えない部分ではありますが、M4搭載の11インチiPad Proは軽量化され、重量バランスも改善されていることも期待できます。

 キーボード利用が前提だと、iPad AirのTouch IDも少々気になってくるポイント。

Face IDであれば、キーボードのキーを叩くだけで自動的に顔が読み取られてロックが外れますが、Touch IDの場合、いったんキーボードから指を離す必要があります。

時間にすればわずかですが、急いで文章を入力したい時などには何かとストレス。これも、iPad Airに行くのを躊躇した理由です。

写真:iPad Airは、Touch IDを継続。ここもやや躊躇したポイントだ

 M4搭載のiPad Proへの機種変更であれば、お金がかかること以外は、デメリットを考える必要がほぼほぼありません。後継機の後継機なので、当たり前ではありますが(笑)。

ディスプレイが刷新され、薄く、軽くなっているので、機種変した感も十分。セルラー版はSIMカードスロットがなくなり、eSIMオンリーになった点も筆者的に興味をそそられたポイントと言えるでしょう。

 Paidyの12回払いを選択したら、本体は1回あたり1万7000円の支払いに。20万円を一括でポンと払うのはやや抵抗がありますが、毎月1万7000円と聞くと、なんとなく大丈夫な気がしてきます。恐るべし、分割払い

第3世代の11インチiPadを売却すれば、ある程度返済に充てられることも見込んでいます。

写真:1回あたり約1万7000円と聞くと、まぁ、買えるよねと思えてくる。分割払いマジックだ

 とは言え、やや引いた目線で自分を見ると、完全に“iPad Pro沼”にははまっているような気もします。一度はまるとなかなか抜け出せないのも事実。

世代を経るに従い、クリエイター向けの色合いがどんどん濃くなっているため、どこかのタイミングでバランスのいいハイエンドタブレットであるiPad Airに乗り換えてもいいような気がしました。


《石野純也》

石野純也

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慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行う。ケータイ業界が主な取材テーマ。

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