謎の音楽生成AI「LoudMe」登場。Suno激似で作曲し放題、日本語もOK(CloseBox)

テクノロジー AI
松尾公也

テクノエッジ編集部 シニアエディター / コミュニティストラテジスト @mazzo

特集

SunoとUdioの2強だったボーカル付きAI作曲サービスに新たなライバル「LoudMe」が登場しました。8月15日にプレスリリースが出ていたものの、あまり話題になっていなかったサービスですが、その実力は相当なもの。実際に試してその実力を探ってみることにします。

ただ気になるポイントがいくつかあります。

■謎企業による謎音楽生成AIサービス

こうしたサービスを作るためには相当の研究成果と実行環境が必要です。LoudMeについてわかっているのは、プレスリリースの発信元がシンガポールになっていることからシンガポール企業ではないかと推測されることと、CEOの名前がMike Smithであることだけ。プロフィールについては不明です。

CEOの名前(よくある名前すぎる)や社名を検索しても出てこないのが不思議。さらに、Xの公式アカウントもなさそうなところとか、本気で売り出そうとしているのかも不明です。

■Sunoに酷似している仕様

SunoやUdioと同様に簡易モードとカスタムモードが用意されていて、どちらでも1回の生成で最大4分の楽曲が2曲作られます。

生成にかかる時間はおよそ30秒。Sunoよりは遅いですが、Udioほどではありません。

簡易モードでは、面白いアプローチをしています。Description(楽曲の説明を入れるところ)フィールドにAI generateというボタンがあり、そこを押して表示される新しいフィールドに説明を入れると、それを補完したサンプルを3つ提示してくれます。その中から選んでください、というわけです。

(▲簡易モード)

カスタムモードでは歌詞、音楽スタイル、タイトルをそれぞれのフィールドで指定できるところなど、Sunoのカスタムモードにかなり近い感じです。

(▲カスタムモード)

音楽スタイルのサジェストなども近いですが、入力したテキストに応じて変化はしません。見た目だけの実装っぽいです。

気になる生成された楽曲の品質ですが、かなりSunoに似ています。Udioほど生っぽくなくて、Auto-Tune的処理が入るなど、ボーカルの感じがかなり似かよっています。両方並べると区別をつけにくいです。

試しにChatGPTに書かせたJ-POPバラード向け歌詞で生成しましたが、出てくる曲はなかなかいいんですよね。

今度は、英語曲のバラードをやってみました。1980年代のアリーナロックにありがちなパワーバラードができました。

次は1970年代風ハードロック。4分の曲が作れるはずなのですが、途中で切れてしまいました。

途中で切れた場合には、Extendボタンで延長もできます。これはSunoと同様です。

Extendで曲を延長するときに、延長箇所の場所を分と秒で指定するところも同じなのはどういうことでしょう。

Suno V3.5 APIを使っているのであれば理解できますが、Brev.aiと違ってその点については明記されていません。

■実装は未熟だが、良いところもある

全体的に、初期段階のSunoに近い感じで、楽曲の評価やプレイリスト、アーティストのフォロー、ビデオダウンロード、カバーアートの編集、曲目の変更といったところはまだ実装されていません。

FAQによれば、商用利用には有料プランのサブスクリプションが必須なのですが、サブスクプランもまだ実装されていない模様。

それでも、現在のところ無料かつ無制限で曲を生成できるという、他にもないメリットがあります。筆者は今日だけで200曲を生成しましたが、特に制限がかかる様子はありません。

Sunoよりも良い点は、Music StyleとLyricsだけではなく、Descriptionでの説明も追加できること。言葉を尽くして作りたい楽曲を記述できるところです。現在のSunoは特にMusic Styleの文字制限がきつい(最大120文字)ので、曲に入れて欲しい要素全てを記述することができず、やむをえず省いてしまうことがあります。

また、他のサービスでは禁止されている、アーティスト名や曲名をプロンプトに使うことができるようです。

Beatlesなどアーティストの文字列自体を禁止することは、LoudMeではやっていないようで、ビートルズインスパイアな曲も作ることはできました。ただ、Music StyleやDescriptionで謎のエラーが出る単語が別にあって苦労しましたが。

ABBAもOKでした。まあABBAと入力したからといって完全にABBAな曲が出るわけではないのです。

(▲プロンプトのアーティスト名を入れられる)

SunoやUdioよりも少し自由度が高いので、使うメリットはあると判断しました。

State of the Art(SOTA)を豪語するその技術がどこに由来するのか(自分のものではないかもしれない)などが明らかになるのを期待しながら、もう少し使ってみようと思います。

9月1日追記:LoudMeがSunoに違法アクセスしているというという話が出ています。

Sunoは楽曲にウォーターマークを仕込んでいるので、こうした違法行為はすぐにわかると思うのですが。

LoudMeが課金サービスを開始したこともあり、不穏な状況となっているようです。

また、LoudMeはXの公式アカウントがロックされています。

この動画の作者である3Daizyさんは、SunoのDiscordでモデレーションをしている人で、Suno関係者といってもいい人物。LoudMeがロイヤリティフリーとして公開している楽曲はSunoで生成したものであることを確かめたそうです。

《松尾公也》

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松尾公也

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