Google Pixel 9 Pro(小さいほう)実機ハンズオンレビュー『日本向けPixel』のカメラとAI機能をチェック(石野純也)

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石野純也

石野純也

ケータイライター/ジャーナリスト

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慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行う。ケータイ業界が主な取材テーマ。

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GoogleはAIを売りにした純正スマホ「Pixel 9」「Pixel 9 Pro XL」を8月22日に発売しました。


今回のPixel 9シリーズは全4機種構成。これまでのProをギュッと凝縮してノーマルモデルと同サイズにした「Pixel 9 Pro」が加わったほか、フォルダブルスマホの「Pixel 9 Pro Fold」もナンバリングモデルの仲間入りを果たしました。

 今回試したのは、新規モデルとして投入され、9月4日に発売されるPixel 9 Proです。デザインは以下の写真のとおりで、ノーマルモデルのPixel 9とほぼほぼ同じ。縦横厚さのサイズも、小数点以下までピタッと一致しています。正面からみると、ノーマルモデルなのかProなのかが、分からないほどです。

 コンパクトモデルとまでは言えないレベルですが、ディスプレイサイズは6.3インチで、片手で持つにはちょうどいいサイズ感。これまで筆者が使ってきた「Pixel 8」と比べると、フレームや背面が角ばっているぶん、やや持ちにくくなった印象はありますが、大きさゆえにこれまでProモデルを見送っていた人にはいい選択肢になりえます。

▲写真:ディスプレイ、背面ともに丸みを帯びていたPixel 8と比べると、より直線的なデザインになった。そのぶん、手に取ったときのフィット感はやや落ちている印象だ

 デザイン的なノーマルモデルとの差分は、フレームの処理方法にあります。Pixel 9はつや消しでアルミの質感がそのまま伝わるようなフレームだったのに対し、Pixel 9 Proは光沢感が全開。お値段的にもノーマルモデルより高いぶん、分かりやすいラグジュアリー感を出してきました。

なお、この仕上げについては、発売済みのPixel 9 Pro XLも同じです。

▲写真:フレームは光沢感が強い。ラグジュアリーな雰囲気を醸し出している一方で、指紋が目立ちやすいのが難点か

▲写真:ノーマルモデルはつや消し仕様。わずかな違いだが、横から見た時の印象は大きく変わる

 背面は、カメラ部分に大きな違いがあります。ノーマルモデル、ProともにPixelのアイデンティティとも言えるカメラバーは健在なものの、Pixel 9 Proは望遠カメラを搭載しているため、レンズユニットの面積が広くなっています。

逆にノーマルモデルは、カメラのレンズ部分とフラッシュの間の台座の素材が目立つ形で、ここも2つのモデルを見分けるポイントになります。

▲写真:カメラバーのサイズはノーマルモデルと同じだが、レンズの数が1つ多い。望遠カメラを搭載しているためだ

 見た目だけでなく、機能的にもPixel 9 Proの方が高く、差分として48メガピクセルで光学5倍相当のレンズを搭載しています。ペリスコープ型のため、存在感は抜群。

通常は1200万画素相当で撮影していますが、10倍にしたときにはピクセルビニングを解除して4800万画素をフルに使って切り出しを行うため、画質の劣化が非常に少ないのがポイントです。

 また、ここに3倍ぶんのデジタルズームを加えて超解像を行い、最大30倍相当まで被写体に寄ることが可能です。以下は実際に撮った1倍と30倍の写真。1倍では交差点の全景が写っているのに対し、30倍では交差点の反対側にあるオブジェに焦点を合わせた写真を撮ることができます。

▲写真:1倍で撮影した渋谷のスクランブル交差点

▲写真:5倍に切り替えた。明るい場所であれば十分きれいだ

▲写真:30倍まで拡大すると、交差点の反対にあるオブジェクトに寄れる。ただし、超解像といってもやはり劣化はしている

 ただし、いくら超解像と言ってもデジタル処理のため、ディテールはやや欠損しています。ディスプレイに等倍で表示しても、よくよく見れば気づくレベル。拡大して使うことは難しいでしょう。

一方で、単純に標準カメラで撮った写真を切り出しても、ここまでのクオリティにはりません。どうしても撮りたいものに近寄れないときなどには、重宝しそうな機能です。

 こうした部分も含めて、機能面は発売済みのPixel 9 Pro XLと同じ。ノーマルモデルにはない「ビデオ夜景モード」や「動画ブースト」、カメラの「プロ設定」などには一通り対応しています。

また、ディスプレイもサイズこそノーマルモデルと同じですが、機能的にはPro寄り。特に、最低リフレッシュレートには大きな違いがあり、ノーマルモデルは60Hzなのに対し、Pixel 9 Proは1Hzまで落としてバッテリーの消費を節約できます。

▲写真:カメラのプロ設定に対応しているのも、Proである証拠だ

▲写真:スムーズディスプレイは1~120Hzで可変。最大は同じだが、最小を1Hzまで落とせるのはProだけとなる

 機能的にはPixel 9 Pro XLと同じですが、ディスプレイサイズが小さいため、重量も軽くなっています。XLが221gとフォルダブルスマホに迫るヘビー級のスマホになってしまっているのに対し、Pixel 9 Proは199gとギリギリですが200gを切りました。カメラが1つ増えているものの、Pixel 9の198gとは1gしか変わりません。

 実際、手に取ったときに軽いと感じるほどではありませんが、スマホとして許容範囲だと思いました。ほとんどノーマルモデルと変わらないボディや重量なのに、機能はProモデル相当というのは魅力的と言えるでしょう。Googleは、日本市場からの要求が多かったと語っていましたが、フリック入力などもこのサイズ感であればしやすいと思います。

▲写真:このサイズだと、片手でのフリック入力もしやすい

 とは言え、このスペック差であれば、Pixel 9を選ぶ手もあります。その方が、価格も安くなるからです。望遠カメラをあきられるかどうかが、その分岐点になります。

ズームといってもセンサーサイズは標準カメラより小さく、レンズもF2.8とやや暗め。30倍の超解像ズームはやはり処理したような不自然さは残るため、ズームにこだわるのであればミラーレスカメラなどを使った方がいいでしょう。やはり餅は餅屋です。

 AI回りの新機能も、現状ではノーマルモデルとProモデルに差がありません。編集マジックのオートフレーミングや、集合写真に撮影者が写れる「一緒に写る」といった機能はシリーズ共通。

今回は“おま国対応”されている機能もちょこちょこありますが、この点も差分はありません。日本語対応すれば、おそらくシリーズ全モデルが同様の機能を搭載できるはずです。

▲写真:オートフレーミングなどの機能はシリーズ共通。AIに関しては、Proだけの機能がなかった

 このように見ていくと、AIのために搭載したという16GBメモリを生かしきれていない印象も受けます。個人的に、PixelはGoogleのAIを世に出すための“器”だと思っているだけに、この点は少々残念。

Proならではの機能も見てみたかったのが本音です。とは言え、Proにサイズ、重量の選択肢が生まれたことは大歓迎。先に述べたように、これまでProを諦めていた人にもオススメできる1台に仕上がっています。


Google Pixel 9 / 9 Pro / 9 Pro XL発表。Gemini AI推しでメモリ大増量、Proは大小2サイズ。無印9もカメラ強化 | テクノエッジ TechnoEdge

《石野純也》

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