iPhone 16 / Pro先行レビュー。カメラコントロールと性能底上げで例年以上のお買い得、Apple Intelligenceの真価はこれから (石野純也)

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石野純也

石野純也

ケータイライター/ジャーナリスト

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慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行う。ケータイ業界が主な取材テーマ。

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Appleは iPhone 16シリーズを9月20日に発売します。iPhone 16、iPhone 16 Plus、iPhone 16 Pro 、iPhone 16 Pro Max の4機種とも、AppleのAI機能 Apple Intelligenceに対応。そのために、プロセッサーやメモリなどのスペックも底上げされています。



また側面に新たに搭載する「カメラコントロール」も、カメラアプリの起動や撮影操作がしやすくなるだけでなく、今後のアップデートでApple Intelligenceを使った画像認識のトリガーになる予定です。

アップルがApple Intelligenceのために開発されたiPhoneと評しているのは、そのためです。

 一方で、Apple Intelligenceの対応は米国英語が先行しており、その英語版も10月予定のアップデートを待つ必要があります。


日本など、いわゆるセカンドティア地域は25年の対応になることが発表されており、さらにタイムラグがあります。

そのため、残念ながら現時点ではスペックでしかその実力を評価できません。あくまで現状では、料理を盛る前の器でしかないというわけです。

▲ 無印もメモリが8GBになるなど、Apple Intelligence対応のためにスペックが底上げされている

 もっとも、器自体も前世代からしっかり進化を遂げています。特にアップデートとして大きいのは、冒頭で挙げたカメラコントロールでしょう。

昨年はProのみ対応で、今年から無印にも搭載された「アクションボタン」とは異なり、カメラコントロールは無印・Proをまたがって一気に4機種対応。iPhoneの標準的な操作体系に取り入れられた感があります。

 シャッターキーとも評されるカメラコントロールですが、一般的なそれとは少々機能が異なります。感圧センサーで半押しと全押しを認識するという機能は同じですが、ボタンには静電容量式のセンサーが組み込まれており、左右のスワイプでズーミング操作やフォトグラフスタイルによるスキントーンの切り替えなどが可能。

センサーを組み合わせることで、デジカメにおけるシャッターとその他レバーなどをまとめたキーと言えそうです。

▲側面に搭載されたカメラコントロール。ぺこぺこと凹むが、沈み込みの量ではなく、感圧センサーで力の強弱を判定している

 実際に使ってみると、このキーがあることでより撮影がしやすくなったように感じます。

カメラコントロールはiPhoneを横にしたとき、自然に指が当たる位置にあり、くぼみもあるため、指をかけたくなります。そのままキーをグッと押すだけで撮影は完了。親指で画面上のカメラボタンを押すよりも、デジカメに近い感覚で撮影ができます。

▲ 横で持つとカメラコントロールの右半分に、自然と人差し指が当たる

 またズーミングも簡単で、半押ししたあと指を右方向にスワイプしていくだけ。

ピンチイン・ピンチアウトでの画角調整は2本の指が必要になり、iPhoneを安定して持つのが難しくなりますが、カメラコントロールであれば人差し指1本で操作ができるため、より操作が簡単になります。

▲ 半押ししたあと、左右にスワイプして画角を変更できる

 もちろん、カメラコントロールは縦位置でも機能します。ただし、この場合は親指で操作することになり、やや安定感に欠ける印象も。これならば、従来通りの画面操作で撮影した方がいいような気します。こうした特性を踏まえると、カメラコントロールは横位置でデジカメ風に操作するためのボタンと言えます。APIも公開されているため、サードパーティアプリに広がることも期待できます。

 少々気になったのは、半押しでフォーカスロックができないこと。半押しでフォーカスを定めてからシャッターを切るというのは一般的なデジカメのお作法とも言える操作体系ですが、シャッターボタン風なだけに、最初は少々戸惑います。こちらはアップデートで対応する予定とのことですが、むしろ、真っ先にその機能を実装してほしかった感はあります。

 慣れが必要なのは、スワイプで呼び出せる機能の切り替え。これをするには、半押しのダブルクリックをしなければならず、つい力を込めてしまうと写真が撮れてしまいます。デジカメではあまりしない半押しのダブルクリックなだけに、iPhone専用の操作として体に覚え込ませる必要があります。

▲ 半押しをダブルクリックしたあと、左右のスワイプで機能を切り替えられる。ただし、この呼び出しには慣れが必要だと感じた

 もっとも、いったんズームなどの機能を呼び出せば、画面をタップすることで機能を切り替えることも可能。むしろこちらの方が、直感的に操作できました。また、左右のスワイプで呼び出す機能は、そこまで頻繁に変えるものでもないでしょう。

ズームならズーム、フォトグラフスタイルならフォトグラフスタイルで、固定して使う人も多いはず。その意味で、機能の切り替えはあまり重要ではないかもしれません。

▲直接この部分をタッチして機能を切り替えることも可能。こちらの方が、直感的かもしれない

 メインカメラの画質に関しては、Proも無印もかなりの好印象。フォトグラフスタイルでスキントーンを変更できるため、人を撮ったとき思っていた以上に不健康そうに見える……といった失敗が防げます。

カメラに関しては、無印がマクロ撮影に対応。iPhone 16 Proは元々Pro Maxだけの機能だった5倍ズームを搭載しましたが、どちらも使い勝手は良好です。

フォトグラフスタイルであとからスキントーンを変更できるようになった。失敗が減りそうでうれしい機能だ

▲ Proは2機種とも5倍ズームに、無印は広角カメラによるマクロ撮影に対応した

 加えて、カメラには反射コーティングも施されており、以前までのモデルと比べるとピンポイントで強い光がある場所でのゴーストが減っているような印象も受けました。

さすがにこれだけでゼロにはなりませんが、派手にゴーストが浮き出てしまうことは減ったと言えそうです。

▲ iPhone 16 Proで撮った1倍と5倍の写真。光学5倍のため、劣化がなくクッキリしている

▲デジタルズームを使うと、Proは25倍まで寄れる。ただし、Androidの高倍率対応モデルと比べると、ディテールの描写は少々甘い

▲ 反射コーティングのお陰で、強い光源がある風景を撮った際のゴーストが減った印象

 Apple Intelligenceへの対応はこれからですが、カメラに優れたスマホとしても十分高評価なiPhone 16シリーズ。

画質面に関しては1インチセンサーを搭載したデジカメライクなスマホにはまだかなわないところはあるものの、その他の機能も含めて総じてバランスのいい仕上がりになっています。

特に、今回はApple Intelligence対応のため、無印iPhoneがいつになくハイスペック。価格は据え置きのため、例年以上にお得感が増していると評価できます。

《石野純也》

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慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行う。ケータイ業界が主な取材テーマ。

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