AI音楽生成サービス Suno AIの公式iOSアプリに新機能「Scenes」が加わりました。
Sunoのモバイルアプリは現在、米国App Storeでしか配信していませんが、米国App Store専用にしているiPhoneを使い、試してみました。
SunoはSafariやChromeなどのWebブラウザを使うことで、スマートフォンでも利用可能ですが、公式iOSアプリは少々毛色が違います。デスクトップ版とはかなり異なるユーザーインタフェース、機能の絞り込みをしていて、そこが面白かったりします。ローンチ時にはレビューもしています。
モバイルアプリの良いところは、マイク、カメラ、写真ライブラリなどスマートフォンが持つ機能にアクセスできる点にあります。
Suno AIのiPhoneアプリは、鼻歌から曲を作れるAudio Input機能を使いやすく実装するなど、デスクトップとは別方向に進化させようという意気込みを感じていました。それが、ようやく動き出したというわけです。
では、このScenesはどういうことができるのでしょうか。
Suno for iOSの以前のバージョンでは、曲を作るときにTextとAudioの2つのモードがありました。Textは作りたい曲の内容をテキストで指示する従来のやり方。Audioは、iPhoneのマイクから自分の歌声や演奏を取り込んで、その続きを曲にする方法です。
そこに、Cameraという項目が加わりました。これがつまり、Scenesというわけです。
現在は、このCameraモードがデフォルトになっていて、曲を作ろうとすると、すでにカメラが起動しています。シャッターボタンを押して撮影したら、それをそのまま曲にできる仕組みです。
撮影したものに、コンテキストとなる文章を追加するよう促されます。これはやらなくても大丈夫ですが、入力したテキストを参考に歌詞を作ってくれるので、入れておくと良いです。
Createボタンを押すと、しばらくして2曲が完成します。
出来上がった曲は30秒のビデオクリップになるので、保存しておけば、各種SNSに投稿可能。歌詞がある場合は、カラオケ的な表示がされます。
画面左にあるボタンから、写真ライブラリにアクセスすることもできます。これまでiPhoneで撮影してきた写真や取り込んだ画像全てに曲をつけられるというわけです。
ご機嫌なロックをBGMにしてくれました。歌詞も画像にあったものになっています。
ライブラリにあった動画もOK。「長崎の夜景。稲佐山の山頂で」と日本語でプロンプトをつけると、歌詞の中にInasayamaと入れてくれました。英語曲ですが。
Sunoアプリから撮影できるのは静止画だけではありません。赤丸ボタンを長押しすると、押している間は動画が撮影できます。それをそのまま使って曲を作れるのです。
なお、生成される曲は30秒きっかり。InstagramやTikTok、YouTube Shortsなどの投稿に向いているのではないでしょうか。
いいな、と思った場所で撮影するだけで曲ができる、そんな「人生のサウンドトラック化」が実現しています。
Apple Watchのセンサーデータが加われば、野尻抱介さんが「南極点のピアピア動画」で描いていた、新しい時代の音楽体験にさらに近付くのではないでしょうか。
米国以外でのローンチも間近だというので、期待しています。
おまけ。TTXCという展示会に参加するために、台湾の高雄市に来ています。台北から高雄まで、台湾版新幹線であるHST(Hight Speed Train)に乗ってきたのですが、その途中で撮影した動画をScenesで曲にしました。