これはもう人間? Suno v4の音質向上は本物か、過去バージョンもリマスターしてみた(CloseBox)

テクノロジー AI
松尾公也

テクノエッジ編集部 シニアエディター / コミュニティストラテジスト @mazzo

特集

テキストの指示で楽曲を完成することができるAI作曲サービス「Suno」が、v4にメジャーバージョンアップされました。現在利用できるのは、ProとPremierの課金プランユーザーのみです。

最大のポイントは音質向上。これは、v2、v3、v3.5といった古いバージョンで作った曲にも適用できます。リマスター(Remaster)ができるのです。


■v4の新機能

まとめるとこういうことになります。

  • 音質向上:特にボーカルの明瞭さが大きく増して、Udioに匹敵する品質に

  • リマスター:過去の作品(v2も含む)をv4の音質にリマスターできます

  • 作詞の新モデル:従来の歌詞作成エンジンに加え、ReMiという新しい作詞モデルが使えるようになりました(これは無料ユーザーも使えます)

  • 音楽スタイルが最大200文字に:従来120文字までの制限があった、音楽スタイルが200字まで拡張されました(これは無料ユーザも使えます)。除外音楽スタイルも同じく拡張されたので、最大400字の音楽要素を指定できます

  • カバーアートが良くなった:歌詞から自動的に作られるカバーアートが、背景ボケを使ったり、特定のモノをピックアップしたりとかなり良くなっている

さっそく試してみました。

■新しい作詞エンジンで曲を作ってみた

まずはイチから作ってみましょう。作詞エンジンが新しくなったので、ここに簡単なキーワード「おどろいちゃったぜ」を入れてみます。

出来上がったのはこの歌詞。すごくないですか?

[Verse]
毎日同じ景色で飽きちゃうわ
憂い気味のグレーじゃねえ
たまの週末気分も変わらないし
ありえねえ

[Verse 2]
ほら知らないこともたくさんあるんでしょ
ここを出てみねえ 君の
「世界」とやらを見せてごらん

[Pre-Chorus]
君に出会ってからの
毎日予想も付かない
あんなのやこんなの
暇潰しになるかも
信じてあげてもいいよ

[Chorus]
ささくれた私がすっきり
綺麗に治った
驚いちゃったぜ
鳥肌立つ
澄んだ水飲めばリフレッシュ
消化したみたい
驚いちゃったぜ
毎日がアッという間
[Verse 3]
毎日同じ景色で飽きちゃうわ
憂い気味のグレーじゃねえ
たまの週末気分も変わらないし
ありえねえ

[Verse 4]
ほら知らないこともたくさんあるんでしょ
ここを出てみねえ 君の「世界」とやらを見せてごらん

[Verse 5]
反射的に疑ってしまう
「それ予測の範囲内でしょ
あんたにできるの?」っていう
まじかよ
これもドッキリかって思うんだけどね

まじかよ。これまでは作ることができなかったレベルの歌詞です。段違いのレベルでよくなっています。

従来の作詞エンジンにも切り替えられます。

ReMiで作った歌詞で作曲。歌手はペルソナで作った。ハードロックバンドのボーカルです。

ボーカルの音質が明らかに良くなっているのがわかります。

v3.5で作った、このペルソナの元歌唱はこちら。

もう1曲、妻の歌声を元にして作ったペルソナで、v4に作曲してもらいました。声質は妻の歌声を残しつつも、ボーカル品質が格段に向上しています。プロンプトに使える文字数が増えたことで、より細かい指示が可能になり、ボーカルレンジを幅広くするといった指定が反映されています。

自分の声を元にしたペルソナも曲もリマスターできました。

まずは元曲。

これをリマスターすると、やはり音質が上がります。

比較のために、Udioで最近作った曲です。しばらくやってみたら、この生っぽさがSunoでも出せるでしょうか。

■v2の時の曲をv4でリマスターする

では、古い曲をv4にリマスターしてみましょう。使うのは、Whispers of the Pastという英語曲。プログレのコンセプトアルバムを作るときにできた曲です。


これを元に友人のレコーディングエンジニアにマスタリングしてもらい、Apple MusicやSpotify、YouTube Musicなどで配信している、お気に入りの曲でもあります。

ボーカルと他の楽器パートをステム分離して処理するなど、かなり苦労してマスタリングしてもらいました。


それが、v4のリマスター機能でこうなります。

節回しがちょっと変わっていますが、ボーカル、アコースティックギターの音色がクリアでクリスプになっているのがわかると思います。

世界デビューを果たしたThe Midnight Odysseyですが、リマスター盤を作らないといけないですね(笑)

いやー、しばらく他のことは何もやらずにv4でリマスターしたり新曲作ったりに専念したいです。

そして、もはや人間のボーカル、人間の曲との区別がつけようのない世界に突入しました。

自分の声で高品質な歌声が出せるようになった今、自分が何をすべきかが問われている気がします。AIの歌を真似て自分の声と比較でもしてみますかね。

とはいっても、自分の声をアップロードしてペルソナにする機能は現在は使えなくなっているのですけど(自分は塞がれる前にやってみたので使えています)。

妻の歌声を読み込ませて作ったSunoペルソナを使い、v4で作った曲に、HeyGenのAI Photo Avatar(妻の写真21枚を学習)でリップシンクをさせて、1曲丸ごとの簡単ミュージックビデオを作ってみました。

ボーカルをステム音源にせず、完成曲をそのまま読み込んだものです。ギターソロまで口パクしているのも愛嬌があっていいです。気に入ってます。


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《松尾公也》

松尾公也

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