Metaのマーク・ザッカーバーグCEOは、全従業員の約13%にあたる1万1000人を解雇すると発表しました。パンデミック時の急激な収益増加がその後も続くと読み違え、支出を増やしたことが裏目に出たと説明しています。
従業員へ宛てたメッセージで、ザッカーバーグ氏は主要事業のFacebookがTikTokの台頭に押されたこと、(アップルのプライバシーポリシーの変更などのため)広告ビジネスが道すじを見失ったこと、メタバースへの投資も収益につながっていないことなどを説明し、ビジネス全体でコストを削減・効率化して広告やAI検索、メタバースといった「より的を絞った優先度の高い成長分野」に多くのリソースを割く方針を打ち出しました。
また、Metaは2023年第1四半期まで新規採用を中止しています。そのため今回の削減では採用チームが特に影響を受けるだろうと述べています。なおMeta従業員数は2022年9月30日の時点で8万7314人に達しており、その1年前に比べて28%も増加しています。
CEOは、すでに従業員に解雇に関するメールを送り、米国内の従業員に対しては、基本給の16週間(約60日)分に勤続年数に応じた割り増し分を上乗せした退職金を支給することを約束しています。さらに解雇対象者とその家族には6か月分の医療費負担と、外部業者の再就職支援や移民へのビザ取得支援といったサポートも用意します。企業秘密保護のため解雇対象者は社内システムへのアクセスを制限されるものの、(Twitterとは異なり)社内メールは勤務最終日は使える状態で残しているとのこと。一方、米国以外の国の従業員に対しては、現地の法律に従いつつ同等のサポートを提供するとしました。
Metaはメタバース事業関連で2021年に100億ドル以上、2022年もこれまでに94億ドルの損失を出しているとされ、2023年にはさらに多くの費用がかかると予想されています。一方でメタバース・プラットフォームの「Horizon Worlds」はまだまだバグも多く、社内でも不評だとされています。Metaの株価は今年に入ってから70%以上も下落し、会社の市場価値は7000億円も縮小しました。それでも、ザッカーバーグ氏はいまだメタバースの計画へのコミットをやめる気はなく「少数の成長分野」のひとつとしてリソースを投じていくつもりのようです。
ただ、苦境に立たされているハイテク企業はMetaだけではありません。Twitterは言うまでもなく、Snapchatを手がけるSnapは8月に従業員の20%を削減する計画が報じられ、今週には顧客管理システムのSalesforceも数百人規模の人員削減を実施したことを明らかにしています。