米国のQualcomm Technologies、ドイツのInfineon Technologies、ドイツのRobert Bosch、ノルウエーのNordic Semiconductor、オランダのNXP Semiconductorsの5社は、RISC-Vプロセッサの世界的な普及を促進するための企業を共同で設立すると発表しました。
RISC-Vは、RISC-V Internationalの下でオープンかつ無料で使えるプロセッサの命令セットとしてライセンスされています。シンプルな命令セットで電力効率の高いプロセッサを実現可能な点が特徴とされているため、将来的にはArmの競合になるとの見方もあります。
下記はQualcommが発表したプレスリリースです。
5社はそれぞれモバイルや産業向け半導体市場、あるいは車載機器市場などにおける主要なサプライヤーとして知られています。
そして共同設立される企業は、RISC-Vベースの製品の互換性を実現するリファレンスアーキテクチャを提供すると説明しています。下記はプレスリリースからの引用です。
Formed in Germany, this company will aim to accelerate the commercialization of future products based on the open-source RISC-V architecture. The company will be a single source to enable compatible RISC-V based products, provide reference architectures, and help establish solutions widely used in the industry. Initial application focus will be automotive, but with an eventual expansion to include mobile and IoT.
ドイツに設立されたこの会社は、オープンソースのRISC-Vアーキテクチャに基づく将来の製品の商業化を加速させることを目的としている。同社は、RISC-Vベースの製品の互換性を実現するための単一のソースとなり、リファレンスアーキテクチャを提供し、業界で広く使用されるソリューションの確立を支援する。最初のアプリケーションの焦点は車載だが、最終的にはモバイルやIoTにも拡大する予定だ。
5社は新会社が提供するRISC-Vプロセッサをベースとしたデバイスのリファレンスアーキテクチャを採用し、製品化していくことで、低コストかつスピーディな製品展開、幅広く互換性のある製品展開によるエコシステムの充実などによって、RISC-V製品の普及促進を目論んでいるとみられます。
新企業は規制当局の承認後に正式に設立発表がされる見通しで、現時点でその名称などは明らかにされていません。
RISC-Vのエコシステム充実が加速
Qualcommは今年(2023年)6月にGoogleやインテルらとオープンソースのエコシステムを充実させるためのプロジェクト立ち上げにも参加しています。
今後、ハードウェアとソフトウェアの両面でRISC-Vエコシステムの充実が加速していくことが期待されます。
この記事は新野淳一氏が運営するメディア「Publickey」が2023年8月8日に掲載した『RISC-Vの世界的な普及を促進するため、Qualcomm、Infineon、BOSHなど5社がリファレンスアーキテクチャなどを提供する企業を共同設立すると発表』を、テクノエッジ編集部にて編集し、転載したものです。