テープデバイスが得意だったSysgen社のリムーバブルHDD「DuraDisk」(DuraPak)(15MB、1986年頃~):ロストメモリーズ File024

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宮里圭介

宮里圭介

ディスク収集家

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需要のわからない記事を作る自由物書き。分解とかアホな工作とかもやるよー。USBを「ゆしば」と呼ぼう協会実質代表。

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[名称] DuraDisk
(参考製品名 「REMOVABLE HARD DISK CARTRIDGE」(36-01549-01))
[種類] HDD
[記録方法] 磁気記録
[メディアサイズ] 約110×112×11mm
[記録部サイズ] 直径約100mm
[容量] 15MB(フォーマット時)
[登場年] 1986年頃~

ひとつ、またひとつと消えていき、記憶からも薄れつつあるリムーバブルメディア。この連載では、ゆるっと集めているメディアやドライブをふわっと紹介します

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「DuraDisk」は、Sysgen社が販売していたリムーバブルHDD「DuraPak」用のカートリッジ。Sysgen社は、1980年代前半から1990年代にかけてストレージを扱っていた会社で、とくに、データバックアップ用となるテープデバイスに力を入れていました。

DuraPakはリムーバブルHDDとなるため、Sysgen社の製品としては少々珍しいものとなります。といっても、メインストレージとして使うのではなく、こちらもデータバックアップがメインとなっていたため、用途としては変わりません。簡単に特徴をまとめてみると、テープと比べランダムアクセス性能で有利、15MBと当時としてはそれなりの容量、カートリッジが3.9インチで小型といったあたりがウリでした。

ライバルとしてターゲットにされていたのは、データバックアップやPC間でのデータ交換などで使われていた、Iomega社の「Bernoulli Box」(8インチ)。これは、当時のPC Magazineなどに比較広告が掲載されていることからも明らかです。

▲8インチのBernoulli Box用カートリッジとの比較広告

比べるまでもなく小型で、ドライブ価格も安く、容量も大きいとなれば、DuraPakが魅力的に見えるのは当然。といっても、既にBernoulli Boxは20MB版が登場していましたので、やや恣意的な比較となっていますが。


そんなDuraPakのカートリッジ、DuraDiskを見ていきましょう。

ほぼ正方形で密閉度が高め

カートリッジの外装はプラスティック製で、アクセスウィンドウを守るシャッター部分もプラスティック。全体をぐるりと見回しても中のディスクを見ることはできず、かなり密閉度の高いカートリッジとなっています。

▲ほぼ正方形のカートリッジ。シャッターも小さめ

さすがに裏面にはモーターと接続するハブがあるため、この周囲にはわずかながら隙間があります。しかし、うまく凹みを噛み合わせてあり、直接内部が見えないようになっていました。多少のホコリは仕方がないものの、大きなゴミは入り込まないよう徹底された作りと言っていいでしょう。

▲ハブ周辺の隙間も可能な限り削減

右上にあるスリットは、シャッターのロック解除用。カートリッジ挿入方向から押し下げることで、シャッターが開きます。中にはバネが入っており、カートリッジを取り出す際に自動で閉まるようになっていました。

▲棒状のものを挿し込むとシャッターが開きます

ディスクは1枚だけですが、だいぶ分厚いものが入っています。当然カートリッジの重量もかなりのもので、実測で約142.4g。3.5インチのフロッピーディスクが約17.9gだったので、だいたい8枚分くらいですね。容量は10枚分以上あるので、グラム当たりの容量はフロッピーディスクに勝っています。

裏面の左下にある赤いクリップは、ライトプロテクトの設定用。このクリップを取り外すと書き込み可能、取り付けると書き込み禁止です。

▲赤いクリップで書き込みの可/不可を設定

取り付けた場合と取り外した場合、どちらが書き込み可能となるのかわからなかったのですが、付属の説明書にバッチリ書いてありました。こういった資料が残っていてくれるのは、非常に助かります。

▲ちなみに名前は「Write protect clip」でした

SyQuest社の「Q-PAK」とソックリ!?

この連載の読者であれば、なんだか過去にも見た気がしたのではないでしょうか。そうです、色こそ違いますが、サイズも形も「Q-PAK」とソックリなのです。


Q-PAKは「SQ306RD」というドライブ用のカートリッジで、フォーマット時の容量が5MB。これの後継が、トラック数を2倍へ増やした「SQ312RD」というドライブで、容量は10MBとなりました。

このSQ312RDとほぼ同じ構成で、磁気記録変調方式をMFMからRLLへと変更したのが、「SQ319RD」。これによってトラックあたりのセクター数を増やし、容量が15MBへと強化されました。明確に書かれている資料は発見できませんでしたが、どうやらDuraPakは、このSQ319RDのOEMとみて間違いないでしょう。

▲Q-PAKとDuraDiskの違いは、色だけです

なお、販売数はあまり多くなかったのか、ebayでも出品されているのをほとんど見かけません。1986年の登場当初は強力なライバルが少ないのでよかったのですが、翌年の1987年には5.25インチへと小型化されたIomega社の「Bernoulli Box II」(20MB~)、さらに1988年には、SyQuest社から「SQ555」(カートリッジはSQ400)(44MB)が登場。

こうなると、15MBと容量が少なく、速度も見劣りするDuraPakが生き残れる余地はほとんどありません。実際、1988年9月のPC Magazineに掲載されているリムーバブルストレージ対決で惨敗しており、レビューも「落としても投げても壊れなかったよ!」(意訳)という、なんとかイイトコ探しをしている状態でした。

結局、リムーバブルHDDのDuraPakはパッとせず、Sysgen社はテープデバイスやフロッピーディスクドライブへと注力していきました。

参考:

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《宮里圭介》
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