Apple Storeでソフトバンク契約をするとiPhoneが安く買える仕組みを解説(石野純也)

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石野純也

石野純也

ケータイライター/ジャーナリスト

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慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行う。ケータイ業界が主な取材テーマ。

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日本にApple Storeが上陸してから、11月30日で20周年を迎えました。Apple Storeの第1号店は、現在改装中で一時的に移転しているApple銀座。アップルの直営店およびオンラインストア担当 シニアバイスプレジデントのディアドラ・オブライエン氏は、「アップルが米国外で初となるApple Storeを銀座にオープンしてから、今年で20周年となりました——この節目を迎えるにあたり日本への貢献を一層強化すべく、2025年後半までに銀座の新しいお店でお客様をお迎えできるよう、完成を目指しています」と語っています。

▼米国外のApple Storeとして20年前、初めてオープンしたApple銀座。写真は17年に撮影したもので、現在は改装中。銀座内で一時移転している。25年後半までに新店舗がオープン予定だ

オブライエン氏が「店舗でもオンラインでも、お客様に比類ない選択肢、さまざまな購入方法、そして情熱を追求し、目標を達成し、最高のアイデアを実現するために必要なあらゆるサポートをお届けするために、私たちは常にイノベーティブであり続けています」と述べているように、Apple Storeはこの20年間でさまざまな進化を遂げてきました。

iPhone登場以降はキャリアとの連携も緊密になり、Apple Store内で新規契約や機種変更などの手続きも可能になっています。下取りで負担感を減らしつつ、キャリア契約でさらに割引を受けるのは、“お得なiPhone購入術”の定番的な技になりつつあります。

▼Apple Storeではキャリアの契約も可能。機種変でも、8800円の割引を受けられる。ただし、11月に現金やクレカの一括払いが対象外に。Paidyかキャリアの分割払いで割引される仕様に変更された

一方で、オンラインストアのApple Storeも、その体験をきちんとアップグレードしています。20周年に合わせるように、11月にはオンラインでiPhoneを購入する際にも、ソフトバンクの契約が可能になりました。ソフトバンクによると、新規契約だけでなく、機種変更にも対応しています。しかも、支払いをPaidyの分割払いにすれば、店頭と同様、8800円の割引を受けることができます。

購入の途中でソフトバンクのオンラインストアに飛ぶQRコードが発行され、eSIMでの契約ができるようになったといいます。iPhoneが届いたら、すぐにセットアップして使い始められるよう、物理SIMではなく、eSIMを活用して設計されていることがうかがえます。

▼オンラインのApple StoreでiPhoneを購入する際に、ソフトバンクの契約付きを選択できるようになった。Paidyなら、8800円の割引もつく

ユーザーにとってのメリットは、最安価格をつけることが多いApple Store価格でiPhoneを購入でき、さらに割引まで受けられること。一例を挙げると、ソフトバンクでiPhone 15 Proの128GB版を購入する場合、一括価格は18万5760円に設定されています。これに対し、Apple Storeでの販売価格は15万9800円。ソフトバンク契約かつPaidyで支払った際には、ここから8800円引きになり、15万1000円まで価格が下がります。その差額は3万4760円。周辺機器どころか、予備の安いスマホまで買えてしまいます(笑)。

▼キャリア版は本体価格がApple Storeより割高。ソフトバンクユーザーは、Apple Storeで機種変更した方が安くあがる

しかもオンライン手続きのため、店頭で発生していた事務手数料もなくなります。元々ソフトバンクを使っていたユーザーや、新たにiPhoneを買ってソフトバンクを使おうと思っていたユーザーにとって、なかなかいい選択肢ができたと言えるでしょう。これまでもApple Storeの店頭ではできていましたが、オンラインストアが対応したことで、全国区で利用可能になった点は大きな進化だと思います。

注意点は、あくまでアップルが販売主体になっているため、ソフトバンクの割賦やアップグレードプログラムは利用できないこと。上記のiPhone 15 Proの場合、ソフトバンクは端末を48分割し、後半24回を下取りで免除する「新トクするサポート」を用意していますが、これが利用できません。総額は安く、Paidyで分割払いは可能ですが、36分割のため、1カ月あたりの支払額は上がってしまいます。

▼新トクするサポートは、支払い回数が48回と多いため、Paidyの分割払いより1カ月あたりの代金を抑えることができる

また、約2年後に下取りに出した際に、ソフトバンクであれば8万9640円という免除額が半ば確定しているのは、キャリアのアップグレードプログラムならではと言えるでしょう。アップルでも下取りは実施しているものの、2年後にいくらで引き取ってもらえるかまでは分かりません。一方で、iPhoneはスマホの中でトップクラスのリセールバリューなので、下取り額が暴落する心配はする必要もないことは付け加えておきたいところ。価格差を踏まえても、Apple Store経由でソフトバンクを契約するのがお得になりそうです。

▼アップルは、Apple StoreでもiPhoneの下取りを行っており、新しい端末の代金に充当できる。写真はその様子

ソフトバンクにとっては、回線契約を取りやすいのがメリットと言えそうです。店頭の場合、ドコモ、au、ソフトバンクの3社から選べてしまうため、MNPされてしまいかねないのが難点。これに対し、オンラインストアであれば、今のところ割引を受けられる選択肢はソフトバンクだけになります。他社ユーザーが機種変更のためにApple Storeにアクセスした際に、割引でソフトバンクに移ってもらうことが可能というわけです。

実はオンラインのApple Storeでは、iPhoneと一緒にワイモバイルの「SIMスターターキット」購入や、UQ mobileのeSIMも契約できるようになっており、新規契約時やMNPでキャッシュバックを受けられます。ただし、こちらはあくまでキャリア側が契約に対して行う還元で、上記のソフトバンク契約のように、端末をダイレクトに割り引く施策ではありません。その意味で、ソフトバンクはメインブランドとしてより緊密にアップルと連携ができていると言えるでしょう。

▼ワイモバイルのSIMカードや、UQ mobileのeSIMも取り扱っている。iPhone購入時に、周辺機器のようにカートに入れることが可能だ

ソフトバンクにとってはある種、有利な環境ですが、ユーザー視点ではやはりドコモやauの契約にも対応してほしいところ。あちこちにApple Storeがある米国とは異なり、日本では、比較的大都市に集中しているため、オンラインで新規契約や機種変更ができれば、リーチできるユーザーも広がるはず。端末の購入体験もイノベーティブであることを求めているアップルなだけに、今後のアップデートにも期待したいところです。

《石野純也》

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慶應義塾大学卒業後、新卒で出版社の宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で執筆、コメントなどを行う。ケータイ業界が主な取材テーマ。

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