年末恒例のベストバイ・スマホ編としてピックアップしておきたいのが、グーグル純正スマホとして人気急上昇中の「Pixel 8」です。
本体がPixel 7より小型化し、手になじむようになっただけでなく、チップセットに「Tensor G3」を搭載し、パフォーマンスも底上げされています。
小型化を果たしながら、バッテリー容量も「Pixel 7」比で増加しているのもポイントです。
Proと比べると、カメラの進化は小幅ですが、超広角カメラがオートフォーカスに対応。画角も広くなり、使い勝手が増しています。
メインカメラに関しては、画素数やピクセルピッチは変わらずですが、レンズがF1.8からF1.68へと明るくなっています。
グーグルが得意とするAIの機能は、Pro譲り。写っている写真から人を丸ごと消したり、移動させたりと大胆な編集が可能な「編集マジック」や、動画から特定の音だけを消し去ることが可能な「音声消しゴムマジック」など、Pixel 8シリーズの投入に合わせて実装された機能はひと通り利用できます。
こうしたAIを使った処理は、いずれ過去モデルにも開放される可能性は大いにありそうですが、現時点ではPixel 8シリーズの特権と言えます。
▲編集マジックの使用前、使用後。ワイハーを堪能する筆者がザクっと消え、道路やサクが生成AIで書き足されている
こうした性能のよさはもちろん、Pixel 8は価格とのバランスが最高でした。ただし、本体価格自体は先代と比べ、値上がりしています。
これは、いわゆる「グーグルレート」が撤廃されたため。5月に発売された「Pixel 7a」は、為替レートと比べて明らかに円高な価格が設定されており、グローバルで見ても群を抜いて安い価格がつけられていました。
これに対し、Pixel 8は1ドル約145円。現在の為替レートと、ほぼほぼ同じ設定に改められています。
そのため、Pixel 8も本体価格は11万2900円まで上がっています。無印Pixelとしては、初の10万円超えです。にも関わらず、コスパがよかったのは“真の発売日”の到来が筆者の想定以上に早かったため。
おそらくこれは、12月27日に電気通信事業法の施行規則が改正されるのを見越してのことでしょう。発売から1か月も経たず、KDDIやソフトバンクは、実質価格を大幅に引き下げ、販売しています。
筆者が購入したのはソフトバンク版。現状、同社はPixel 8を11万4480円で販売していますが、「新トクするサポート」を使うと実質価格は2万2008円まで下がります。
これはあくまで、25回目の支払いが始まる前に、ソフトバンクに端末を下取りに出した際の価格ですが、2年後のPixelを9万2472円で引き取ってくれるというのはなかなか太っ腹。このプログラムは端末単体の購入にも適用されます。
発売から1か月も経ってないPixel 8が実質2万円強となれば、これはもう買うしかありません。円安を吹っ飛ばすキャリアの施策に乗ってしまったというわけです。
実際、筆者は主にPixel 8をサブ端末として使っていることもあり、コンパクトサイズになり、より取り回しやすくなりました。
文字起こしに対応したボイスレコーダーも相変わらず優秀。Tensor G3のお陰なのか、以前より長時間ぶっ続けで回し続けても、不具合が出にくくなったような気がしています。
購入当初から発表会などの録音に酷使していますが、今のところ1回も失敗がないのはその証拠と言えるでしょう。実質2万円台なら、ボイスレコーダーを新調したと考えても割安です(笑)。
同じようなことならPixel 8 Proでもできますが、こちらはまだまだ価格が割高です。同じソフトバンクでも、実質価格は9万4320円。
本体価格が高いにも関わらず、下取りで免除される金額はPixel 8より低いという逆転現象が起こっています。
おそらく、これは、ソフトバンクが特定の端末をプッシュしているから。価格帯で言うと、10万円前半の比較的性能の高いモデルを大幅に安くしています。調達価格や、割引によって獲得できるユーザー数などを考慮し、こうした価格が設定されていることがうかがえます。
ただ、12月27日に電気通信事業法の施行規則が改定されると、このコスパのよさが崩れてしまうおそれがあります。先に述べたように、分割払いの免除も、額が大きすぎると割引と見なされるからです。
Pixel 8の一般的な下取り価格がいくらになるかにもよりますが、2年前の「Pixel 6」についている買い取り価格が3万円強ということを踏まえると、現行の仕組みは、6万円の補助と見なされる可能性があります。
ソフトバンクは、MNPの場合、別途割引を出しているため、このままでは、合計で4万4000円までという制限を大きく超えてしまいます。
都内量販店を回ってみたところ、やはり実質1円や実質約1万円をつけていた端末の値札には、軒並み「12月26日まで」との記載がありました。27日には、価格が改定されてしまうかもしれないというわけです。
上限が4万4000円に上がるため、Pixel 8 Proのように、元々実質価格でそれほどチャレンジしていない端末はそのままか、やや安くなる可能性もある一方で、Pixel 8は今のままの価格を維持できないかもしれません。
回線とセットにしない単体販売には依然として制限がないなど、キャリア側がつけそうな“抜け穴”はありますが、解釈の違いで刺されてしまわないよう、様子を見ながら徐々にアクセルを踏むはず。
少なくとも、実質2万円台前半でPixel 8をキャリアで購入するなら、今がチャンスと言えそうです。