スペイン・バルセロナで開催されたMWC 2025でuCloudlinkは同社が得意とするクラウドSIM関連の新製品を発表しました。IoT向け機器や世界中で「ネットアクセス無し」環境を撲滅するための衛星対応ルーターなど、同社らしいラインアップです。

まずはCloudSIM Kit。以下のような製品です。iPhoneのSIMスロットからケーブルが伸びて、その先に「ClocalMe」のロゴの入った箱がつながっています。iPhoneのアンテナピクト部分を見ると、LTEの表記が。つまり、この状態でデータ通信が行われているのです。

CloudSIM Kitは簡単に言えばSIMカードの延長ケーブルで、その先にクラウドSIM機能を内蔵した箱が取り付けられています。実はSIMカードの延長ケーブルというものは中国の怪しい業者が様々な用途に使っており、表に出ない世界で存在していました。しかし、CloudSIM KitはSIMカードの代わりにクラウドSIMを利用できるソリューションとして開発されたもの。SIMカードスロットのある端末に装着することで、アプリからクラウドSIMの購入が行えます。

実際の利用シーンですが、4Gや5Gモデム搭載の固定ルーターとして用います。例えば新しい倉庫を建てて事務所で作業したり、庫内管理のカメラやセンサーからのデータをWi-Fiで取得し、それをルーターから外部に飛ばすときなど、その場の電波環境が悪いと業務が捗りません。クラウドSIMならuCloudlinkのサーバー側に複数キャリアのSIMが用意されているので、電波が良好なキャリアを自動で選択できます。「キャリア不問で、とにかくつなげたい」そんなIoT用途向けの製品と言えます。

もちろん、iPhoneに挿したり、モバイルルーターに装着しても使うこともできますが、スマートフォンで利用する場合はもっといい製品が登場しています。それがMeowGo G50 Maxです。

これは5G対応のモバイルルーターで、uCloudlinkのクラウドSIM、さらに空きのSIMカードスロットを搭載しています。5G対応バンドなど詳細スペックは未公開ですが、現在、同社が販売しているクラウド5Gルーター「Numen Air」が5G NR Sub-6のBand n79を含む多くの周波数帯に対応していることから、MeowGo G50 Maxも対応バンドは日本も広くカバーするでしょう。技適も搭載されると考えられます。
そして、NTNに対応しているのが大きな進化点です。NTN(Non-Terrestrial Network)は非地上系ネットワークのことで、衛星通信の業界標準規格ともいえるもの。NTN規格に対応した衛星は各社からサービスが拡充されるほか、ドコモやソフトバンクが開発中の無人飛行機から電波を飛ばすHAPSもNTNをサポートします。NTN対応衛星が増えれば増えるほど、MeowGo G50 Maxの使える場所は広がります。

モバイルルーターではなくスマートフォンで使えるキャリアを広げたい人には、eSIMを保存できるeSIM Trioが便利です。こちらはすでに1月にラスベガスで行われたCES 2025のブースに出展されていたもの。クラウドSIMをSIMカード化しており、装着したスマートフォンでuClouldlinkの提供する世界各国対応の多彩な料金プランを利用できます。それに加えてeSIMのプロファイルを複数保存できます。

eSIM非対応のスマートフォンでもeSIMが利用可能になります。また、スマートフォンを変えるときもeSIM Trioを一般的なSIMカードと同様に抜いて新しいスマートフォンに装着すればeSIMの移行が完了します。現時点ではiPhone同士、Androidの一部の機種同士でeSIMトランスファーができますが、プリペイドeSIMなどそもそも転送できないものもありますし、iPhoneからAndroidへの相互移行はできません。eSIM Trioはそれらを可能にする魔法のSIMカードなのです。
CESで展示済みのPetPhoneは、飼い主の音声通話をスピーカーフォンで再生させることで、ペットが飼い主を認識する機能がお披露目されました。uCloudlinkの提供するクラウドSIMそのものが類を見ないサービスですが、その特性を生かした今回の4製品、特定の人には刺さるでしょう。
