AI時代に5000mAhじゃ足りない。HONOR Powerは8000mAh搭載でも普通サイズな理由(スマホ沼)

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山根康宏

山根康宏

香港在住携帯研究家

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特集

みなさんこんにちは、香港在住の携帯電話研究家、山根康宏です。中国では相変わらず毎週のようにスマートフォンの新製品が発表されていますが、4月に登場した「HONOR Power」は、ある特徴が話題になっています。

それは、バッテリーの容量。

HONOR PowerはSoCにSnapdragon 7 Gen 3、6.78インチ(2700×1224ピクセル)4000nits ディスプレイ、5000万画素カメラ+500万画素超広角カメラと、特に大きな特徴のないミドルレンジ機です。価格は1999元、約3万9000円からとリーズナブル。

ただ、バッテリーは8000mAh搭載し、66Wの急速充電に対応します。にもかかわらず、本体サイズは167.3×76.7×7.98mm、約209gと、普通のスマートフォンと変わりません。

最近、中国メーカーのスマートフォンはバッテリー容量の大型化が顕著です。2024年くらいまでは、どのスマートフォンのバッテリー容量も5000mAhが一般的、たまに6000mAhクラスの製品があると「大容量」とうたわれたものです。

しかし、2025年に登場した中国メーカーのスマートフォンは、バッテリー容量5000mAh台のモデルが逆に珍しいほどになりました。フラッグシップクラスでもvivoの「X200 Ultra」は6000mAh、OPPO「Find X8 Ultra」は6100mAh。日本でも人気のシャオミ「Xiaomi 15 Ultra」は、5410mAhですが、これは日本含むグローバル向けモデルの仕様で、中国向けモデルは6000mAhバッテリーを搭載しています。

バッテリーの大容量化はエントリー機にも広がっています。HONOR Powerほどではないにしろ、4月23日に発売されたばかりのシャオミの「Redmi Turbo 4 Pro」は、7550mAhとかなりの大容量。3月発売のvivo「Y300 Pro+」も7300mAhを搭載します。これらのモデルもHONOR Powerと類似のスペック、価格も同等です。さすがに7000mAh台のモデルはまだ少ないものの、6000mAh台の製品はエントリー、ミドルレンジ、ハイエンドと広がっています。

バッテリーの大型化が急激に進んだのは、単純にサイズを大きくしたからというわけではありません。リチウムイオンバッテリーの負極素材をシリコン+カーボン複合材料(Si/C)に代え、大容量化が可能になったからです。この素材はエネルギー密度が高く、従来と同じ形状のバッテリーでも6000mAh越えの容量を実現できるわけです。

HONOR Powerはチップセット性能がハイエンドモデルほど高性能ではない反面、これだけの容量のバッテリーを搭載したことで、約2日間充電不要で使えます。ミドルレンジやエントリーモデルへの大容量バッテリーの搭載は、充電頻度を減らせるという大きなメリットがあります。

一方、ハイエンドモデルでは今後デバイスAIの利用が増えます。当然、消費電力は増え、これまでのバッテリー容量、5000mAhクラスでは1日持たなくなるでしょう。スマートフォンの省電力化に期待したいものの、先進機能はフルパワーを使うものが多く、バッテリー容量の大型化は必須です。

今のところ大容量バッテリーの搭載は中国メーカーが先行しており、グローバルで販売する製品であっても中国やインド向けのみ大容量というケースが多いようです。これは安全テストや輸送上の関係から、対応できる国が限られているからと考えられます。2025年中には中国メーカーのスマートフォンはすべてがSi/C系バッテリーへ置き換わり、グローバルでも大容量モデルが当たり前になるでしょう。10000mAh超えの巨大バッテリ搭載モデルも2025年中に出てくるかもしれません。

《山根康宏》

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