サムスン電子は、26日に韓国・ソウルで新製品発表イベントの「Galaxy Unpacked」を開催。ティザーで予告していたとおり、「Galaxy Z Fold5」と「Galaxy Z Flip5」の2機種を発表しました。
同イベントは、元々、MWCやIFAといった展示会に合わせ、スペイン・バルセロナやドイツ・ベルリンで開催していたもの。その後、単独イベントに移行し、開催地も米サンフランシスコやニューヨークが中心になっていました。サムスン電子のおひざ元である韓国ではもちろんのこと、アジア圏でも初となります。
イベントに合わせ、2機種をさっそく触ってみることができました。共通項は、ヒンジを刷新している点。フレックスヒンジと呼ばれる機構を採用し、折りたたんだ際に、画面と画面がほぼすき間なくビシッとくっつくようになりました。ディスプレイにはガラスが採用されているため、紙のようにピタッと折り曲げることができません。割れてしまうからです。
そのため、これまでのGalaxy Zシリーズは、ヒンジ側にすき間を設けることで曲げを緩やかにしていました。対するGalaxy Z Fold / Flip5の2機種は、ヒンジの中に水滴のような形でディスプレイの一部を収納することで、ヒンジの外側はピタッとすき間がないように合わせています。サムスンは、水滴型にディスプレイを正確に曲げるため、2つのレールを配置。これによって力のかかり方が上下(Foldの場合は左右)均等になり、耐久性も上がったといいます。
Galaxy Z Fold3、4と使い続けてきた筆者にとっても、この改善はうれしいポイント。すき間があると、ポケットに入れているときに繊維などのホコリが入ってしまいやすくなるからです。気づくとメインディスプレイに細かなホコリが付着しているため、その都度ふき取っていますが、これが少々面倒。Galaxy Z Fold / Flip5のそれも、まったくすき間がないわけではありませんが、ホコリの侵入を一定程度防ぐ効果は期待できそうです。
結果として、2機種とも、折りたたんだときの薄型化が進みました。前モデル比でGalaxy Z Flip5が2mm、Galaxy Z Fold5に至っては2.4mmも、厚みを削減できています。コンマ数mm単位で厚さを競うスマホにおいて、2mm以上の薄型化は異例と言えるでしょう。それだけ、ヒンジはフォルダブルスマホにとって重要なパーツというわけです。
また、2機種ともチップセットにGalaxy用の特別仕様となる「Snapdragon 8 Gen 2 for Galaxy」を採用しており、パフォーマンスも十分です。同チップセットは、その処理能力の高さだけでなく、ISP(イメージシグナルプロセッサー)の改善で、カメラの画質が大きく向上するのが特徴。その効果のほどは、先に発売された「Galaxy S23」や「Galaxy S23 Ultra」で証明済み。その恩恵を、FoldおよびFlipでも受けられるというわけです。
Galaxy Z Fold5の主なスペック | |
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ディスプレイ | メイン:7.6インチ(2176x1812ドット、374ppi、最大120Hz) カバー:6.2インチ(2316x904ドット、402ppi、最大120Hz) |
サイズ | 展開時:129.9×154.1×6.1mm 折りたたみ時:67.1×154.9×13.4mm |
重量 | 253g |
カメラ | アウト:12MP F2.2(超広角)、50MP Dual Pixel AF OIS F1.8(広角)、10MP OIS F2.4(超広角) イン:4MP F1.8 カバー:10MP F2.2 |
プロセッサ | Snapdragon 8 Gen 2 Mobile Platform for Galaxy |
メモリ | 12GB RAM+1TB ROM 12GB RAM+512GB ROM 12GB RAM+256GB ROM |
バッテリー容量 | 4400mAh |
防水性能 | IPX8 |
OS | Android 13 / One UI5.1.1 |
通信 | 5G、LTE、Wi-Fi 6E、Bluetooth v5.3 |
SIM | Nano SIMx1+eSIMx1 |
カラー | Icy Blue、Phantom Black、Cream、Gray、Blue |
Galaxy Z Flip5の主なスペック | |
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ディスプレイ | メイン:6.7インチ(2640x1080ドット、最大120Hz) カバー:6.2インチ(720x748ドット) |
サイズ | 展開時:71.9×165.1×6.9mm 折りたたみ時:71.9×85.1×15.1mm |
重量 | 187g |
カメラ | アウト:12MP F2.2(超広角)、12MP Dual Pixel AF F1.8(広角) イン:10MP F2.2 |
プロセッサ | Snapdragon 8 Gen 2 Mobile Platform for Galaxy |
メモリ | 8GB RAM+512GB ROM 8GB RAM+256GB ROM |
バッテリー容量 | 3700mAh |
防水性能 | IPX8 |
OS | Android 13 / One UI5.1.1 |
通信 | 5G、LTE、Wi-Fi 6E、Bluetooth v5.3 |
SIM | Nano SIMx1+eSIMx1 |
カラー | Mint、Graphite、Cream、Lavender、Gray、Blue、Green、Yellow |
特に開くとタブレット大のサイズになるGalaxy Z Fold5は、放熱を行うためのベイパーチャンバーのサイズを前モデル比で38%ほど大型化しているため、CPUやGPUを全力でぶん回しても、より長時間、パフォーマンスを維持しやすくなっています。とは言え、その他の機能はGalaxy Z Fold4から継承している点も多く、ディスプレイ比率も同じ。ヒンジの違いで持ったときの印象は大きく違うものの、仕様的にはややマイナーチェンジ感もあります。
それに対し、Galaxy Z Flip5は外側に配置されるサブディスプレイを大型化することで、フルモデルチェンジ感を出してきました。Galaxy Unpackedのティザー映像で、Galaxy Z Flip5と思われる端末が大々的にフィーチャーされていたのも、そのためでしょう。Galaxy Z Flipシリーズには、閉じたまま情報を確認したり、簡易的な操作をしたりするために、カバーディスプレイが搭載されています。
そのサイズは世代を経るごとに大きくなっていましたが、Galaxy Z Flip5では、ついに3.4インチまで拡大。ウィジェットに表示するための情報量が一気に増えたほか、カバーディスプレイを使っての自撮りもしやすくなりました。これだけカバーディスプレイが大きいと、閉じたまま操作をしたくなりますが、アプリはラボ機能を有効にすると表示することが可能。試しにYouTubeやNetflixなどを開いてみましたが、メインディスプレイと同様に操作ができました。
展示機のため、サードパーティのアプリを勝手にインストールすることはできませんでしたが、PayPayをはじめとする「何とかPay」を使う際には便利そう。決済端末側にスマホ側のコードを読み込ませる決済方式であれば、端末を開く必要もなく、支払いが完結しそうです。カバーディスプレイの大型化によって、端末そのものの使い方も変わる可能性があると言えるでしょう。
ただ、カメラ周辺のギリギリまでサブディスプレイが広がっているモトローラの「motorola razr 40 ultra」は、そのサイズが3.6インチ。0.2インチですが、サイズではサムスン電子が後塵を拝しています。チップセットの違いによる処理能力の高さや、カメラ性能、アクセサリーの多彩さなどはGalaxyに軍配は上がるものの、他社が急速にキャッチアップし、一部機能ではフォルダブルの先駆者であるサムスン電子を追い抜いているのも事実です。
このような点を踏まえると、Galaxy Z Fold5には、もう少し大きな新機能もほしかったというのが率直な印象。例えば、もしS Penが本体に収納できていれば、インパクトはもっと大きくなったのではないでしょうか(というか、そろそろ収納できるようにしてください!)。Galaxy Z Fold5に合わせ、S Pen Foldもコンパクト化し、ケースには収納しやすくなっているものの、やはり本体に入れることは叶いませんでした。
スマホ全体でトップシェアなのはもちろん、フォルダブルに特化したシェアでもブッチギリのトップを走るサムスン電子なだけに、大胆な機能追加にはやや慎重な様子も見え隠れします。とは言え、新ヒンジによる薄型化は、持ったとき、しまったときの印象を大きく変えます。Galaxy Harajukuなどに展示されたあかつきには、ぜひ一度、手に取ってみることをお勧めします。